2014年6月1日日曜日

マインドフルネス:気づきの瞑想

バンテ・H・グナラタナ(著) 出村佳子(訳) 2012 サンガ

ヴィパッサナー瞑想を,徹底的に平易にかつ丁寧に紐解き,実践方法を説明した良書。というか,まさに実践のための基本書か。出家したり瞑想センターに通ったりせず,一人で実践できるよう,実践中に遭遇する様々な困難への対処法なども事細かに書かれている。そういう意味で,坐るにあたってのヒント満載の教科書だ。個人的には「眠気」への対処法がためになった。坐っている人は絶対に読んだ方が良い一書。というか読まないと損する一書。

2014年5月12日月曜日

ブッダの幸せの瞑想

ティク・ナット・ハン 著 島田啓介・馬籠久美子 訳 2013 サンガ

呼吸に戻りなさい。これが本書のメッセージです。とにかく,いろいろな場面や状況を踏まえつつ,たくさんの実践方法を紹介しています。南フランスのプラム・ヴィレッジというところでやっている色々な実践を,惜しみなく盛り込んでいます。なので,これをすべて普段の生活に取り入れようというのは到底無理。唱えると良い言葉や詩もたくさん掲載されているけれど,これとて全部が全部覚えて唱えるのは到底無理。つまりバカ正直に実践の手順を覚えようものなら,どれだけの時間が掛かるやら分かりません。それでは本末転倒です。もちろん,ティク・ナット・ハン師も訳者も,そういう風に本書を読むことは期待していないでしょう。だから,ここに色々な実践方法を上げながらティク・ナット・ハン師が,読者に何を伝えようとしているか,その本質というか核心が大事であり,具体的な実践方法はその例だと思った方が良い。だからその実践方法に忠実に従う必要はない。各自の問題に照らし合わせながら,これはというのを1つ2つ,自分なりに応用してみれば,それで十分でしょう。読みやすくて良い本です。で,言いたいことはただ一つ,呼吸に戻れ,です。

2014年4月30日水曜日

老子と太極拳

清水豊 2013 ビイング・ネット・プレス

『老子』(『道徳経』)の81篇(章)に沿って,そこで書かれている思想を紹介しつつ,それが太極拳とどう関係しているか,太極拳的にはどう解釈できるか,ということを丁寧に書いている意欲的な著作。太極拳の歴史や技術に関することもチラホラ出てきて,武術・武道好きにも読み応えがある。太極拳が「道(タオ)」へと至る最適なアプローチであることが,繰り返し述べられている。太極拳に関する立場は,いろいろあるので清水氏の説が唯一正しいものではないと思うけれども(特に,清水氏は,「陳氏は太極拳ではない」という立場と,「今現在最高の究極的な太極拳は鄭子太極拳だ」という立場を取っている。太極拳家からすれば,この辺りはいろいろと議論のあるところだろう),とにかく,この,太極拳という技法が「道(タオ)」に通じるというのは,その通りだと思う。勉強になりました。空手は稽古がそのまま禅そのものだということを僕は訴えているわけですが(拙著『空手と禅』を参照),身体を通したアプローチという意味で,やろうとしている中身,行こうとしている方向性など,仏教と道教の違いは微妙にあるものの,構造的にはほとんど同じです。

2014年4月19日土曜日

道教の世界

菊地章太 2012 講談社選書メチエ

道教の歴史と現状,それを踏まえた道教の特徴,仏教や儒教との関係と比較など,「道教」の全容を知る良書,ではないでしょうか。というか,道教に関してそれなりにいろいろと書いている本を初めて読んだので,的確なのかそうでないのか判断つきにくいところはあるけれども,読みやすいのは確か。ただ,この菊地章太という先生の文章の書き方が非常に特徴的ではあります。こういう文章を書く人は,これまで記憶にない。それぐらいに独特である。例えば,接続詞はほとんどなく,各文も短い。そういう短い文が並んでいる。まるで誌のような文章です。非常に珍しい。もしかしたら,普段もこういう感じで話しているのかもしれない。そういう,特徴的な書き方です。これには最初ちょっと慣れなかったけれど,半分過ぎた頃にはだんだん慣れてきて,この人の文章の独特のリズムに気持ちよさも感じるようになりました。まぁ,それくらい,日本語としても非常に分かりやすい文章でした。

2014年4月1日火曜日

タオの気功:健康法から仙人の修練まで

孫俊清 1995 築地書館

武当龍門派気功の入門書。まずは実践,という主旨の本で,4分の3は気功実践に関する解説です。図と説明で非常に分かりやすく解説されていますから,「こんな感じかな?」と実際にやってみることができます。呼吸と気(のイメージ)の合わせ方など,個人的には,空手にも応用できる点がいくつかありました。また,スワイショウや站椿,開合,無極(で立つ法)といった基本的な気功のエクササイズや,あるいは制定の近代的な八段錦などとも(当然ながら)共通する修練が多数含まれていて,そうしたエクササイズの意味や方法の理解を深められます。道教やタオの思想については,最終章にまとめられていますが,本書は実践中心なので,それらについて詳しく知りたければ他書に依った方が良いでしょう。