2014年9月16日火曜日

天狗芸術論・猫の妙術

佚斎樗山 石井邦夫(訳注) 2013 講談社学術文庫

武術の,特にメンタルな部分を解いた武道伝書。大天狗と古猫が語る奥義。仏教的つまり禅的なものも語られるけれどもそこはわずかで,道教的な気にまつわる話が多い。あとがきを見ると,荘子思想の立場から書いてるからだろうとのこと。なるほど。全体的にだから,道家である。だから,仏家に対する冷めた見方もまた面白い。

2014年9月5日金曜日

眩談

京極夏彦 (2012) メディアファクトリー

『幽談』『瞑談』に続く第三弾。短編が8つ。どれも良い。さすが京極。あっという間に読んでしまった。『眩』なので,どの話もくらくらとする話。眩惑的。話の調子や物語の設定はどれも違っていって,8つの物語は全部リズムが違う。でも,読みながら段々,どれもくらくらしてくる。

2014年8月14日木曜日

On Tai Chi Chuan

T. Y. Pang (1987) Azalea Press

ホノルルでのタイチーの師であるSteven Youngの師の著書。つまり,僕の先生の先生がかつて書いた本,ということだ。

太極拳とは単なる護身術や健康体操以上のものである。太極拳とは哲学である。哲学的知である。そういうことが書いてある。ただ,全編そういう話ばかりでなく,そのことを踏まえた上で,さて,太極拳をどう練るか,ということで,実践する際の数々のコツや示唆も数多く示されている。太極拳に関する歴史や古典や重要人物の紹介も満載である。

さて本書は1987年の著であるが,これ以降,こういう哲学的な議論というか,太極拳の本質に関する議論というのは,なさているのだろうか。本書でも書いてる通り,世の太極拳に関する本は,技術書ばかりで,理論書も伝説のようなものを史実のように説明しているものだったりして,ちゃんとした太極拳に関する本がない,とPang先生はおっしゃる。

この本は約30年前の本なのだから,その後,太極拳の本質に関する議論というのは,きっとなされているはずだと期待する。ただ,我が国に関して言えば,ざっと検索するに,太極拳の理論的な本というのは,それほど多くなさそうな気がする。まずはその辺りを読んでいってみることにしよう。

いずれにせよ,太極拳とは何か,本書はその本質を理解する上で必読の一冊だろう。名著である。

2014年8月3日日曜日

Zen In the Martial Arts

Joe Hyams (1982) Bantam Books

数々の著名なマーシャル・アーティストたちの教えを受けた,ハリウッドのエッセイストの,武術エッセイ。タイトル通り,武術修行によって培われる禅的な教えを,さまざまな武術家とのエピソードや,自身のエピソードを踏まえて語られる。「禅」というものを,西欧人の目からストレートに見た姿が描かれている。極端な例もあるけれど,全体的には,この著者が武術を真摯に稽古してきた様子がうかがえる。

ホノルルの本屋の武術・格闘技コーナーに置いてあった。最新の武術書・格闘技書に紛れて,30年も前の本なのに,ペーパーバックと,さらにその簡易普及版まで(2冊)も置いてあったということは,これ,長く読み継がれている名著のようである。

2014年6月19日木曜日

10-Minute Primer TAI JI QUAN

Zhou Qingjie (2014) Singing Dragon

楊式太極拳の10式を紹介している珍しい太極拳の本。10-Minute Primerなので,『10分間で超入門:太極拳』というところか。太極拳の全般的な背景や流派なども簡単に分かりやすく解説してあって,良書です。世にはごまんと太極拳の本がある中で,楊式の10式を紹介している本は,今まで見たことがないので,そういう意味では,貴重な本です。