クリストフ・アンドレ(著) 坂田雪子(監訳) 繁松緑(翻訳) 2015 紀伊國屋書店
良い。とても良い。まず,絵が良い。画集として,良い。その絵の解説書として,良い。26枚の絵を語りのきっかけとして,マインドフルネスについて,丁寧に解説しています。全部で24章に分けて解説していますが,章ごとに,「レッスン」として実践法というか,その章の内容に見合った瞑想法や生活方針が,書かれています。
本国フランスでも32万部のベストセラー,この他,世界12ヶ国で翻訳されてます。それだけの人気が出る理由も,分かります。文章が読みやすいのと(これは日本語の翻訳者の力量もある),装丁も綺麗です(ただ,これも,日本語版の装丁者の力量もある)。
マインドフルネスを語るとき,語り方は様々です。また,微妙なところ,細かいところは,多少の違いも,あります。でもそれもまた,味があってよい。この人はマインドフルネスをこう解釈しているのだな,それもアリだな,いやこれはちょっと違うなとか。それらはそれらで,良い勉強になりますし,また,良い発見になります。
だから,マインドフルネスや禅は,一つの本に傾倒するのも良いですが,色んな本を読む方が良いと思います。マニュアル本やあるいは原典・原著であればそれを何度も読み返す,ということがありますが,ある概念があって,それは,言語化してすぐさま誰もが客観的に理解できる数学的なものでなければ,それに関する言説を,分け隔て無く読むが良いと思います。
本書は,マインドフルネスについて,読んでおくと良い本の一冊です。
2016年2月24日水曜日
2016年2月6日土曜日
怒り:心の炎の静め方
ティク・ナット・ハン(著) 岡田直子(訳) 2011
その方法は,意識的な呼吸と意識的な歩行。これを実践し気づきを養う。そして,コンパッション(思いやり,慈悲)の心をもって相手に接する。本書はこのことを,いろいろな例を示したり,色んな側面から説明したりしています。
怒りを拒絶したり捨て去ろうとしてはいけない。受け入れる。胃が痛いからと言って胃を捨て去ろうとはしない。足が痛いからって足を切り捨てたりしない。自分の赤ん坊が泣いているからといって,置き去りにしない。全力で癒そうとする。全力であやそうとする。怒りも同じである。怒りもまた自分の一部であり,だから,怒りを全力で癒さなくてはならない。全力であやさなくてはいけない。
良い教えです。
その方法は,意識的な呼吸と意識的な歩行。これを実践し気づきを養う。そして,コンパッション(思いやり,慈悲)の心をもって相手に接する。本書はこのことを,いろいろな例を示したり,色んな側面から説明したりしています。
怒りを拒絶したり捨て去ろうとしてはいけない。受け入れる。胃が痛いからと言って胃を捨て去ろうとはしない。足が痛いからって足を切り捨てたりしない。自分の赤ん坊が泣いているからといって,置き去りにしない。全力で癒そうとする。全力であやそうとする。怒りも同じである。怒りもまた自分の一部であり,だから,怒りを全力で癒さなくてはならない。全力であやさなくてはいけない。
良い教えです。
2016年2月2日火曜日
戦後日本の宗教史:天皇制・祖先崇拝・新宗教
島田裕巳 2015 筑摩選書
「宗教学者・島田裕巳の集大成!」と帯にある。戦前の国家神道体制の成り立ちから,そこを基軸に戦後50年間の間,宗教,特に新宗教がどう展開してきたかを,概ね時間軸に沿って丁寧に解いている。300ページだけれど,1ページの文字数は少なく,また,文章も平易なので,さらっと読めます。
中身は,副題にある通りの3本の軸に沿って書かれているけれど,ざっくり分けると,国家神道(特に靖国神社)と創価学会とオウム真理教の話が中心です。この辺の話に興味関心のある人は,面白く読めると思います。一方で,新新宗教辺りを期待した人には,ちょっと肩すかしにあうかもしれません。
「宗教学者・島田裕巳の集大成!」と帯にある。戦前の国家神道体制の成り立ちから,そこを基軸に戦後50年間の間,宗教,特に新宗教がどう展開してきたかを,概ね時間軸に沿って丁寧に解いている。300ページだけれど,1ページの文字数は少なく,また,文章も平易なので,さらっと読めます。
中身は,副題にある通りの3本の軸に沿って書かれているけれど,ざっくり分けると,国家神道(特に靖国神社)と創価学会とオウム真理教の話が中心です。この辺の話に興味関心のある人は,面白く読めると思います。一方で,新新宗教辺りを期待した人には,ちょっと肩すかしにあうかもしれません。
2016年1月14日木曜日
ぼくらの哀しき超兵器:軍事と科学の夢のあと
植木不等式 2015 岩波現代全書
ミリタリー好きだと,その滑稽さが余計に面白いのかもしれない。滑稽さと真面目さは,裏表である。植木氏は,と学会の中心人物の一人で,と学会本でおなじみなので,期待通りと言えば期待通り。でも,全体的に軍事方面にマニアックなところもあって,ちょっと読んでいて疲れました。
ミリタリー好きだと,その滑稽さが余計に面白いのかもしれない。滑稽さと真面目さは,裏表である。植木氏は,と学会の中心人物の一人で,と学会本でおなじみなので,期待通りと言えば期待通り。でも,全体的に軍事方面にマニアックなところもあって,ちょっと読んでいて疲れました。
2015年12月24日木曜日
現実を生きるサル 空想を語るヒト:人間と動物をへだてる,たった2つの違い
トーマス・ズデンドルフ(著) 寺町朋子(訳) 2015 白揚社
2つの違いとは,ヒトが心の時間旅行(メンタルタイムトラベル)することと,他者の心を読むこと(心の理論),という話。どこかで聞いたことのある話だと思ったら,やはり,著者のズデンドルフは,マイケル・コーバリスの直弟子でした。コーバリスのThe Recursive Mindと,基本的には同じことを主張していますので,そのアップデート版だという位置づけでしょうか。
訳は,とても読み易い日本語です。だから,翻訳物でよくありがちな,読んでいてその日本語が分からんよ,ということはない。著者は研究者らしく,地道に知見を積み重ねて結論(暫定的な結論)を導こうとする点,好感が持てます。ただ,読み物(一般啓蒙書)としては,少々,ロジックがくどいかもしれない。要点をまとめれば,半分ぐらいになりそうな気もしないでもない。つまり,この手の話に,読者がどこまで詳しいエビデンスを求めているかに依存すると思いました。
でも,良書です。ヒト(人間)の基本的な心のスペックはどんな具合かを知る上で,勉強になります。
2つの違いとは,ヒトが心の時間旅行(メンタルタイムトラベル)することと,他者の心を読むこと(心の理論),という話。どこかで聞いたことのある話だと思ったら,やはり,著者のズデンドルフは,マイケル・コーバリスの直弟子でした。コーバリスのThe Recursive Mindと,基本的には同じことを主張していますので,そのアップデート版だという位置づけでしょうか。
訳は,とても読み易い日本語です。だから,翻訳物でよくありがちな,読んでいてその日本語が分からんよ,ということはない。著者は研究者らしく,地道に知見を積み重ねて結論(暫定的な結論)を導こうとする点,好感が持てます。ただ,読み物(一般啓蒙書)としては,少々,ロジックがくどいかもしれない。要点をまとめれば,半分ぐらいになりそうな気もしないでもない。つまり,この手の話に,読者がどこまで詳しいエビデンスを求めているかに依存すると思いました。
でも,良書です。ヒト(人間)の基本的な心のスペックはどんな具合かを知る上で,勉強になります。
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