2017年6月7日水曜日

新しいスポーツマンシップの教科書

広瀬一郎 2014 学研

まず,スポーツをしている学生や生徒,子どもたちは,読んだ方が良いと思う。でも,中身をちゃんと理解できるのは志の高い大学生以上か,せめて高校生以上かなぁと思う。易しく書かれているので,中学生以下でも,分かる子は分かるだろうけれど。

だから,より重要なのは,その種目の指導をしている先生(指導者,コーチ,監督)であり,先生たちは絶対に読んでおかなければならない必読書だと思う。そういう,ものすごく重要で核心的でクリティカルなことの書いてある本です。その上で,この本に書いてあることは当然ながら理解して,学生や生徒,子どもたちに伝えていかなければならない。そういう,ものすごく重要な責務を負っているということを,指導の先生は理解しなければいけないと思う。

特には,学校の部活や町道場で柔道や剣道や空手道などいわゆる「武道」を指導している先生は,まず,本書を読むと良いと思います。我が国は戦後,「武道」を「スポーツ」の一種と捉えてきたので,おそらく多くの先生が,「武道」と「スポーツ」を区別していない(混同している)からです。

つまり,本書を読めば,自身が指導しているのは「武道」ではなくて「スポーツ」であることを,知ることができます。そして,願わくばその上で,では「武道」とは何かを,よく考えてほしいからです。その際は是非,拙著『空手と禅』をお読みいただきたいです。

2017年6月4日日曜日

ゾンビでわかる神経科学

ティモシー・バースタイネイン,ブラッドリー・ヴォイテック(著)鬼澤忍(訳) 2016 太田出版

面白い。神経科学の話は,単語が難しいのと,話がややこしいのとで,いつもチンプンカンプンになるけれど,この本は最後まで楽しく読めました。なにせ,話のネタが「ゾンビ」ですので,ゾンビのことを考えたり,ゾンビに襲われる人のことを想像しながらだから,ふむふむなるほどと読めてしまう。

もともと原著(”Do Zombies Dream Undead Sheep?”)でこの本の存在を知り,だから原著を買おうと思っていたのですが,そのときすでに日本語訳(本書)が出ていることが分かり,神経科学の本だし,日本語にしようと思ったわけです。だから,翻訳者と出版社に感謝。

日本語訳も分かりやすくて,自然に読めました。神経科学の話だから,翻訳書として日本語で詰まるようだとアウトでしたが,訳が自然なので最後まで読めたと言えます。翻訳者の鬼澤氏の力も,だから,大きい。

ゾンビ好きの人,神経科学のさわりを知りたい人には,お勧めです。原著は2015年のPROSE賞というのを取っていますので,面白さお墨付きです。原著タイトルからして,著者らのセンスが光る。ゾンビは不死羊の夢を見るか?

2017年5月31日水曜日

太極拳のヒミツ

真北斐図 2017 BABジャパン

最近の『誰にも聞けない太極拳の「なぜ?」』『HOW TO太極拳のすべて』に続く,真北先生の新刊です。月刊『秘伝』の企画でお会いするのを機に,『秘伝』編集部より新刊を送っていただき,早速読みました。これまでの真北先生の著書で書かれていることからさらに深部,エッセンス,原理に近いところのお話で,今回もまた,武術稽古に役立つヒント満載でした。

真北先生の書かれることは,外見的な形よりも,内面的な感覚に関することがほとんどであり,その点,私が求める武術稽古の本質に近く,前々から真北先生の著書は参考にしていました。武術の本質を探究しているのであれば,太極拳家の方はもちろん,空手家や合気道家の方なども是非,読むと感じるところがきっとあろうかと思います。

2017年5月17日水曜日

老子×孫子:「水」のように生きる(教養・文化シリーズ 別冊NHK100分de名著)

蜂屋邦夫・湯浅邦弘 2015 NHK出版

老子と孫子を対比させての,分かりやすい解説本。共通点は「水」。まぁ,それだけではないけれど,両者には非常に似通ったところがある,ということで,面白く読めました。何より,孫子に関してはじめてその内容にちゃんと触れましたので,とても勉強になりました。読みやすい本ですので,老子と孫子を同時に知りたければ,是非,買って損はありません。お得です。

2017年5月5日金曜日

虚実妖怪百物語「序」「破」「急」

京極夏彦 2016 角川書店

「序」「破」「急」の三冊,読みました。いやしかしやっぱり面白い。ギャグ満載,妖怪満載,でもってシリアスな戦いや謎解きもあり,実在する人物(と同名の登場人物)も満載で,いろいろな意味で楽しめるエンターテイメント。故・水木しげるに捧げる大スペクタクル小説。最後は少し泣けました。