2018年1月23日火曜日

ゾンビ論

伊東美和・山崎圭司・中原昌也 2017 洋泉社

近頃,ゾンビ本が我が国でもよく出ています。海外(主にアメリカ人?)は,どうもゾンビ好きが多いようで,向こうでは前からゾンビ本はよくありましたが,我が国も最近,流行っているようです。

本書は,たぶん日本一のゾンビ映画マニアであろう伊東美和氏の本です。山崎氏と中原氏で3割書いていて,7割は伊東氏。もう,伊東氏一本でいいじゃん。山崎氏と中原氏の論調と比べると,二人が映画批評であるのに対して,伊東氏のはラブレターです。愛に溢れている。僕は,伊東氏のところが好きです。

僕のような,素人「ゾンビ映画」好きには,裏話や映画史も満載で,とても楽しめる一冊です。

2018年1月15日月曜日

禅マインド ビギナーズ・マインド2:ノット・オールウェイズ・ソー

鈴木俊隆(著) 藤田一照(訳) 2015 サンガ新書

いわゆる鈴木俊隆禅師の有名な講話集"Zen Mind, Beginner's Mind"に続く2冊目の講話集"Not Always So: Practicing the True Spirit of Zen"の日本語版です。翻訳は,藤田一照師です。

実は勘違いしていて,本書は,「禅マインド ビギナーズマインド」としてすでにサンガ新書で出ている松永太郎訳のそれの,藤田師訳版だと思い込んでいました。松永氏は翻訳家ですが,藤田師は禅僧なので,禅僧としての訳,という意味だと思っていたわけです。なので,改めて「禅マインド ビギナーズマインド」は買って読もうと思います。

さて中身ですが,俊隆師の講話は,日常語や例やイメージで分かりやすく語ろうとして成功している反面,語ろうとする内容そのものが抽象的で感覚的な場合,どうしても観念的になってしまって,自分にはよく分からんなぁ,というところがいくつかありました。

これは,言葉や訳の問題というよりは,そもそも言葉にしようとするそれ自体,言葉にしにくい(できない)ものだからだと,思います。そういう難しさ,苦労もまた,滲み出てくる,味わい深い一冊になっています。

2018年1月1日月曜日

成功者K

羽田圭介 2017 河出書房出版社

芥川賞受賞作品は読んでませんでしたが,路線バスの旅に出演してるときに着てたTシャツを見て,面白そうだと思って買いました。面白い。なお,主人公が30歳なのだけれど,もしこれを20歳のときに読んだら狂った小説だと思うだろうし,30歳の時に読んだら共感するだろうし,40歳を越えて50歳に近づこうとしている今の自分が読むと,全編通して冷や冷やするという代物です。

事件的なことは何も起こりません。少しずつ狂っていく。徐々に歪んでいく。読後にじわじわ来ます。だから面白い。

2017年12月26日火曜日

構築された仏教思想:道元 仏であるがゆえに坐す

石井清純 2016 佼正出版社

道元の思想を,中国禅の流れから,その対比でもって明らかにしていく,非常に丁寧で分かりやすい本でした。まずは道元の略歴を追い,彼の辿った道を押さえた上で,その著作を紐解いていくので,なぜそういう考えに至ったのか,なぜそういうことを主張しているのかが分かって,読んでいて合点がいきました。

たまたま最近読んだ,メルロ=ポンティの紹介本と,構成が似ていて,読みやすかったです。非常に勉強になりました。道元を知るには,おすすめの本です。

2017年12月25日月曜日

5つのチベット体操:若さの泉

ピーター・ケルダー(著)渡辺昭子(訳)2004 河出書房新社

1993年初版,2004年改訂新版です。いわゆる「チベット体操」の本です。儀式(体操)の仕方が詳しく載っているだけでなく,そもそもこの本は,ちょっとした不思議な小説の体裁を取っていて,それがまた魅力的です。つい,試したくなります。

巷には,この体操(チベット体操,チベットヨガ)の教室やインストラクター養成講座があります。お金を払ってそうした教室や講座に通うのもの良いですし,1200円のこの本を買ってよく読んで丁寧に自分で実践するのでも良いかと思います。それくらい,5つの儀式の動作はまったく複雑ではありません。