2018年10月14日日曜日

身心変容の科学:瞑想の科学

鎌田東二(編) 2017 サンガ

研究ができる人,する力のある人,推進力・エナジーのある人というのは,本当にすごいなと感心します。一応,同業者ではありますが,本当に凄いなぁと感心します。私はこんなにエナジーはない(笑)。共通するのは,その「疑問追求力」というか「謎を解明したい欲求」というか,そういうのが振り切れて強いんだろうと思いました。

特にすさまじいなぁと思ったのは,編者の鎌田東二先生と,町田宗鳳先生。もちろん,内田樹先生も永沢哲先生も。いずれも著名な人で,ただその著名な理由はそもそもそのすさまじさにあるわけですが。この本に出てくる先生の多くは,すさまじいエナジーを発しています。有り余るエナジー故に,いろんなところでいろんなことをしています。とても一人の人間がしてきたことには思えないぐらいの,広さと深さ。到底,真似できません。

さて,内容的には,基本的には「瞑想」に焦点を当てていますが,そこから身心変容や宗教といった話題にも広がっています。今後,第四巻まで続くようです。

2018年10月2日火曜日

サピエンス全史 上・下

ユヴァル・ノア・ハラリ(著)柴田裕之(訳) 2016 河出書房出版社

これは面白い!あのプロスペクト理論で有名なノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンは,2回読んだらしい。そのくらい,壮大なスケールとぶれない客観的視点で人類史を読み解いた名著だと思います。

教養として,この本は読んでおいた方が絶対に良い。必読書中の必読書だと思う。早速,この著者の次の作品,『ホモ・デウス』(上・下)も買ってしまいました。

付け加えておきたいのは,翻訳者である柴田氏の,滑らかな日本語訳です。この本が日本で売れているとしたら,内容はさることながら(なにせ世界30カ国で公刊されているらしいので),その理由の少なくない部分は,柴田氏の翻訳の上手さだと思います。非常に読みやすく,こなれた日本語に訳されています。だから訳し方の拙さで詰まることが全くありませんでした。普通に日本人が書いた文章を読んでいるような,そんな滑らかさでした。

海外の書籍の翻訳本は,当たり外れがあります。それは,日本語訳がこなれていないと,非常に読みにくくて疲れるからです。なので,この柴田氏の訳した本は,きっとどれも読みやすいと思います。

2018年9月6日木曜日

虚談

京極夏彦 2018 角川書店

やっぱり上手いなぁ。収録されているどの短編も秀逸です。全部で9編。不穏だし,恐いし,不気味だし,それでいて洒落てるし。言葉がどう紡がれるか,一行一行,一字一字がわくわくします。帯にもあるように,虚構と現実がぐにゃりと入り交じります。

2018年8月29日水曜日

R帝国

中村文則 2017 中央公論新社

良い。すごく良い。一気に読みました。ものすごく面白い。そして本当につくづく,その風刺に感心しました。こうして言葉に紡ぐことは,簡単なようで簡単ではない。日頃思う現代社会,現代日本の様子を丁寧に,本当に丁寧に描写しています。

『銃』『教団X』『私の消滅』もすごく良かった。そして続く今作もすごく読み応えがありました。いつの間にやら,私の好きな作家の一人になっています。次回作も期待。

2018年8月25日土曜日

やわらかな言葉と身体のレッスン

尹雄大 2015 春秋社

『身体の知性を取り戻す』に続いて,著書の本を読みました。そして,うううむ,良い感想が見当たらない。

なんというか,世界をもう一度立ち返って,身体の感覚に立ち返って眺めてみましょう,ということだろうか。一言で言えばそういうことかもしれません。全編覆っているニュアンスからすれば,著者の世界を眺める眼がとても敏感で原初的で,そういうナイーブな観点で眺めてみるのが本質なんじゃないでしょうか,我々人間はそういう本質にオブラートが掛かっていたり,本質からずれていたりして,世界を上手に感得していないんじゃないか,ということを言っていると解釈しました。いや,ぜんぜん違うかもしれません。