2020年5月25日月曜日

新訳 夢判断

フロイト(著)大平健(編訳) 2019 新潮社

読みやすい。非常に読みやすい。30年前,大学生のときにも読もうとしたけれど,残念ながら,当時読んだ訳書は,難しくて良く分からず,斜め読みしただけのような記憶があります。今になって,色々と知識が付いてから読んだからかもしれないですが,それを差し引いても,この大平訳は,とても滑らかな日本語訳になっていて,とにかく読みやすい。精神分析を知る上でも読んでおくべきだし,フロイトの考えていたことがこれでようやくそれなりにちゃんと分かった気がします。歴史的名著であることに変わりはなく,その上で,名訳です。フロイトの,とても人間くさい様子が見えて,面白かった。良いものを読みました。

2020年5月2日土曜日

人間科学の哲学:自由と創造性はどこへいくのか

山口裕之 2005 勁草書房

徳島大学・山口先生の本は『認知哲学:心と脳のエピステモロジー』を読んで,こりゃ面白い本だ(というか,たぶん,僕が興味関心のあることをそのまま丸ごとターゲットにしている本だ),と思ったのがきっかけで,著書の中でもそれに近い本書を読みました。

人らしさは食を分け合う感性にある。結論はそこに行き着くわけだけど,そこまでの物語がとても丁寧に語られています。自分が読んだ著書2冊から導けば,生の本質は個々に動機や感心(→感情)がある,人間の本質(自由や創造性)は共生しようという感性にある,というところにぐぐっと惹かれます。僕もそう思うから。

あと,他者問題(他者にも心があるのか,他者にも心があると思うのはなぜか,なぜ心があると言えるのか,なぜ心が分かると思うのか,その心はなぜ自分と同じだと言えるのか・・・であってる?)の話も,たぶんちょうど同じ興味関心。むろん,山口先生は哲学が専門なので,僕は一読者として「なるほど~,そうだよね~」と感心・納得するだけですが,読んでいて面白い。

そのうち,この他者問題で一冊,語ってくれないかなぁ。買います。徳島大学の学生がうらやましい。

2020年4月17日金曜日

思わず考えちゃう

ヨシタケシンスケ 2019 新潮社

人気絵本作家のヨシタケシンスケさんが,日常でスケッチしたイラストと,その解説。その絵本の独特なタッチとコメント(言葉)が面白い氏が普段考えていること,人間・ヨシタケシンスケが垣間見られます。思わず考えさせられる話,なるほどねと感心する話が詰まっています。

2020年4月14日火曜日

時間の言語学:メタファーから読みとく

瀬戸賢一 2017 ちくま新書

これは面白い!!「時間」について認知言語学的に徹底的に分析する,非常にエキサイティングな本です。瀬戸先生の本は初めて読んだので,この,独特の文章に最初戸惑いましたが(読んだら分かります),リズムに慣れると,ところどころに潜むギャグに一人笑いしてしまいます。

ある言葉,ある概念について,認知言語学的にアプローチするというのはこういうことです,という非常に優れた例だと思います。もちろん,学問的なアプローチとして認知言語学における形式・様式はあると思いますが,そういう堅苦しいことは置いておいて,この本のように迫っていけると分かりやすくて良いなぁと思いました。とても参考になりました。

瀬戸先生の本はまた読んでみよう。この先生の授業をライブ(生)で聞いてみたいと思う,そういう本です。

2020年4月4日土曜日

今昔百鬼拾遺 河童

京極夏彦 2019 角川文庫

京極堂・中禅寺秋彦の妹である敦子と,高校生の呉美由紀の二人が主人公のシリーズ第二弾。千葉の夷隅川で連続する謎の水死体。さて,当初,どんな話になるのかと思って読み進めていくうちに,さすが京極,見事に収斂しました。やっぱり面白いなぁ。