2013年2月9日土曜日

The Karate Way: Discovering the spirit of practice

Dave Lowry 2009 Shambhala

かの,Black Belt誌長期連載のDaveの空手エッセイ。空手や武道に関する思想的な話は,一つの考え方として非常に面白いしまた参考になるけれど,こと技術論になるとそれはどうなんだろうと思ってしまう。Daveは松濤館流です。たぶん,日本空手協会か国際松濤館の系統です。松濤館流は松濤館流なりの理合があり,それはそれで敬意を表するが,たとえば前蹴り蹴込みだとか横蹴りといった技について,それをやっている空手が正統な空手(というか,空手そのもの)と言わんばかりに技術論を事細かく書かれると,ちょっとどうかと思う。技術論的には,いろいろあるでしょう。横蹴り?糸東流の形には横蹴りなんてないぞ。膝への足刀蹴りはあるけど。前蹴りとて,「蹴込み」と称するものは,私のやる形にはないぞ(松濤館流では,確かに,蹴込みってのを稽古するね。横蹴りも然り)。もちろん,技術論でも原理原則について議論するなら良いけれども(それが空手的身体に関する核心的な身体論であれば),各論的な技術論は,賛否が分かれるところだから,他流から見れば滑稽に見える場合もありうることを,Daveは分かって書いているのだろうか。こんなに日本の歴史や空手や武道の背景に詳しいのに,技術的には松濤館流しか知らないような節があるところが,惜しいなぁ。他流に関しても,知識だけじゃなくて,ちょっとぐらい身体的に体験してみると良いです。部分的には結構違うけど,本質的には同じところがあるのが分かる。この本がDaveの2冊目だけど,もう買わないかも。