2014年10月3日金曜日

死神の浮力

井坂幸太郎 2013 文藝春秋

前回の,『死神の精度』が面白かったので,買いました。さすが井坂幸太郎なので,面白い。がしかし,今回はテーマが,「自分の子どもが殺される」という話なので,心が痛すぎました。よくこんな痛い話を書けるなぁと,読みながら,そのことに感心。痛すぎて,もう,途中何度も読むのを辞めようと思ったことか。でも最後まで読んでしまいました・・・。結末(というか,井坂小説に明確な終わりってのはあんまりないだろうから,そういう意味では,井坂の今回の終わらせ方)知りたさに。で,痛すぎるので,読まなきゃ良かったと,半分後悔しています。だから,この小説は,軽い気持ちで読み始めると失敗します。井坂の話はディープな,心をえぐる話もちょくちょくあるけれど,これは今までで一番痛かった。あまりにも痛い話だから,死神・千葉の生真面目で滑稽なやりとりに(たぶん,笑う場面に)笑えない。登場人物たちの友情や信頼という場面に,ホッと涙できない。それくらい,今回はテーマが痛い。だから,読むんじゃなかったと半分後悔しています。震災で一時期書けなくなったってどこかで書いてたけど,最近,作品を連発してますね。(今回,こんなに痛かったのに,また買っちゃうんだよなぁ,きっと)