2014年9月28日日曜日

ヨガを科学する:その効用と危険に迫る科学的アプローチ

ウィリアム・J・ブロード(著) 坂本律(訳) 2013 晶文社

ヨガに関して,その歴史から流派から,科学的な検証を経た知見の数々までを徹底的に調べてまとめた本。ヨガを習って実践してる人もそうですが,少なくとも,何らかのヨガを教える人にとっては,これは必読書でしょう。だから,ヨガ教室に行ったら是非,その先生にこの本を読んでいるか聞いてみると良いかもしれない。2013年2月刊行なので,さっそくこの本を読んでいるようだったら,その先生はたぶん正解。しかし,ヨガの世界も千差万別多種多様。武術の世界と似てます。ヨガ(ヨーガ)が,マインドフルネス瞑想の主要な技法に組み込まれているので,こういう本を買って読んでみたけれど,とりあえず,ヨガのことが少し分かった気がします。後はいずれ,一度,機会を見つけて実践してみよう。

2014年9月20日土曜日

疲れない身体の使い方

小笠原清基 2014 アスペクト

小笠原流宗家嫡男による,小笠原流礼法の基本に沿って,正しい立ち方歩き方坐り方を解いた本。ここで「正しい」とは,「本来人間の骨格・体格に合った無理のない」という意味。現代人はその基準からはずれて無理のある立ち方歩き方坐り方をしてしまっているが故に疲れる。だから,正しい方法で動作すれば,疲れないのだ,ということ。ただし,間違った(歪んだ)方法で今まで動作することが身に染み込んでしまっているために,いざ正しい方法で動作すると,当面はよけいに疲れる,というパラドックス。でもそれを越えれば,疲れない身体を取り戻すことができる。小笠原流礼法は,武士の礼法であり,武士が日々身体を整え鍛えるためにまとめられた動作術,とある。本書によればそれの味噌(コア,核)は,内腿のインナーマッスル。ここが要であり,小笠原流礼法の動作はほぼ全部ここんところを鍛えるために練られている。文章も分かりやすく,要点が絞られていて,良い。武道家,あるいは,身体をやる人には必読。ところでこの著者の小笠原清基さん,筑波の大学院で神経科学で学位,現在製薬会社とあるから,もしかしたら小川研か一谷研だったのかな。

2014年9月16日火曜日

天狗芸術論・猫の妙術

佚斎樗山 石井邦夫(訳注) 2013 講談社学術文庫

武術の,特にメンタルな部分を解いた武道伝書。大天狗と古猫が語る奥義。仏教的つまり禅的なものも語られるけれどもそこはわずかで,道教的な気にまつわる話が多い。あとがきを見ると,荘子思想の立場から書いてるからだろうとのこと。なるほど。全体的にだから,道家である。だから,仏家に対する冷めた見方もまた面白い。

2014年9月5日金曜日

眩談

京極夏彦 (2012) メディアファクトリー

『幽談』『瞑談』に続く第三弾。短編が8つ。どれも良い。さすが京極。あっという間に読んでしまった。『眩』なので,どの話もくらくらとする話。眩惑的。話の調子や物語の設定はどれも違っていって,8つの物語は全部リズムが違う。でも,読みながら段々,どれもくらくらしてくる。