2020年5月28日木曜日

今昔百鬼拾遺 天狗

京極夏彦 2019 新潮文庫

今度は「天狗」。舞台は高尾山。今回も最後までカラクリは分かりませんでしたが,しかし,伏線は見事に回収されます。さすがです。これでこのシリーズ3作は一段落でしょうか。とにかく,まぁ,京極ファンからすれば,これぞ京極,な作品です。お見事。

2020年5月27日水曜日

臨床心理学116:心身相関の心理臨床

心理臨床に関わるところで,いろいろな分野の話が載っていて,たいへん勉強になりました。

2020年5月25日月曜日

新訳 夢判断

フロイト(著)大平健(編訳) 2019 新潮社

読みやすい。非常に読みやすい。30年前,大学生のときにも読もうとしたけれど,残念ながら,当時読んだ訳書は,難しくて良く分からず,斜め読みしただけのような記憶があります。今になって,色々と知識が付いてから読んだからかもしれないですが,それを差し引いても,この大平訳は,とても滑らかな日本語訳になっていて,とにかく読みやすい。精神分析を知る上でも読んでおくべきだし,フロイトの考えていたことがこれでようやくそれなりにちゃんと分かった気がします。歴史的名著であることに変わりはなく,その上で,名訳です。フロイトの,とても人間くさい様子が見えて,面白かった。良いものを読みました。

2020年5月2日土曜日

人間科学の哲学:自由と創造性はどこへいくのか

山口裕之 2005 勁草書房

徳島大学・山口先生の本は『認知哲学:心と脳のエピステモロジー』を読んで,こりゃ面白い本だ(というか,たぶん,僕が興味関心のあることをそのまま丸ごとターゲットにしている本だ),と思ったのがきっかけで,著書の中でもそれに近い本書を読みました。

人らしさは食を分け合う感性にある。結論はそこに行き着くわけだけど,そこまでの物語がとても丁寧に語られています。自分が読んだ著書2冊から導けば,生の本質は個々に動機や感心(→感情)がある,人間の本質(自由や創造性)は共生しようという感性にある,というところにぐぐっと惹かれます。僕もそう思うから。

あと,他者問題(他者にも心があるのか,他者にも心があると思うのはなぜか,なぜ心があると言えるのか,なぜ心が分かると思うのか,その心はなぜ自分と同じだと言えるのか・・・であってる?)の話も,たぶんちょうど同じ興味関心。むろん,山口先生は哲学が専門なので,僕は一読者として「なるほど~,そうだよね~」と感心・納得するだけですが,読んでいて面白い。

そのうち,この他者問題で一冊,語ってくれないかなぁ。買います。徳島大学の学生がうらやましい。