2019年9月28日土曜日

リベラルアーツの学び方

瀬木比呂志 2015 ディスカバー

著者の個人的な読書術と読書歴を一冊の本にした感じです。著者のファンにとってはたまらない本だと思います。とてもたくさん,様々な分野の本を読んでおられることはよく分かりました。


2019年9月23日月曜日

十牛図:禅の悟りにいたる十のプロセス

山田無文 1982 禅文化研究所

臨済宗の禅僧,元花園学園大学学長,山田無文老師53歳(昭和28年)のときの,「十牛図」についての解説。廓庵師遠禅師による絵(図)と詩,およびそれに対する廓庵の弟子である慈遠のコメントを,山田老師が説いています。

言葉一つ一つが分かりやすく,本当に講義を聴いているかのようです。また,愛知県出身の老師の尾張訛の言葉がまた,同郷である私にはよく響きました。名著の一つです。

2019年9月17日火曜日

すごい博物画

デイビッド・アッテンボロー,スーザン・オーウェンズ,マーティン・クレイトン,レア・アレクサンドラトス(著) 笹山裕子(訳) 2017 グラフィック社

15~17世紀ごろのヨーロッパ人によって描かれた博物画。レオナルド・ダ・ヴィンチ,カッシアーノ・ダル・ポッツォ,アレクサンダー・マーシャル,マリア・シビラ・メーリアン,マーク・ケイツビーの画。いずれも,基本的に植物学や昆虫学といった自然科学的な視線で描かれているわけですが,その微に入り細に入った画筆がすでに芸術となっています。

面白いのは,静物画のように,何かをただ書き記したというのではなくて,その人の好みで植物と動物が,寸法を無視して,描き込まれているところ。何かと何かを勝手に闘わせたり,何かを何かに勝手に這わせたりしてます。

今では,写真技術や撮影技術が高度になっているので,こういう,手書きの資料は不要なのかもしれないですが,かつてはこれが学術研究資料だっただと思うと,動植物を捉えたこうした絵は,とても貴重だったのでしょう。目の保養になりました。

2019年9月13日金曜日

フィルム・スタディーズ入門

ウォーレン・バックランド(著)前田茂・要真理子(訳) 2007 晃洋書房

2007年に発行で,2019年で第6刷まであるので,非常に売れている本なんだと思います。というのも,映画批評をする上での視点と作法が,分かりやすく書かれているからです。本書にもあるとおり,これは,高校生か大学1年生が「映画学」「映画研究」を専攻するにあたって最初に読んでおくと良い本です。教科書としても良いですし,教養書としても良いぐらい,門外漢の私でも読めます。

最近,映画関係の本を何冊か読んでいますが,この本は,読みやすいのでオススメです。

2019年9月5日木曜日

教養としての認知科学

鈴木宏昭 2016 東京大学出版会

良書。とても分かりやすい。そしてときどき緩いコメントやボケが入っていて,本当に鈴木先生の講義を聴いているかのようです。認知科学という学問が何をどう扱う学問なのか,今までどのように扱われてきたか,今はどうか,これからはどうなっていくべきかも語られています(もちろん,「今」はどうかが,本書のメインです)。

その上で,その知識でもって広く人間を知り,広く生活に応用する,まさに「教養」としての認知科学を提供しています。こういう本を書きたいと思うけど,それはまたいつか。