2013年5月31日金曜日

ピエール瀧の23区23時

ピエール瀧 2012 シナノパブリッシングプレス

電気グルーヴのピエール瀧氏。はちゃめちゃな印象があるけれど,意外と常識のあるちゃんとした人でした(笑)。もちろんそのはちゃめちゃ振りを期待して買った面もあるけれど,そりゃ,ちゃんとしてないとこういう取材は成立しないわな。区ごとに夜散歩する本だけど,区によっては散歩するだけだったり,店を訪れたり,人を訪ねたりと,変化があって読み飽きない。とにかく面白い。一緒に東京23区の夜を歩いたような,そんな感じになれます。歩きながら撮った写真が多数掲載されてるのもそれに貢献してます。その写真に写るピエール氏がまた氏らしく,どれも変で良い(笑)。

2013年5月27日月曜日

2013年5月24日金曜日

Crazy Like Us: The globalization of the Western Mind

Ethen Watters 2010 Robinson

精神疾患に関する疾病観と治療法,具体的にはDSMによる診断と,主にアメリカにおいて確立されている疾患の背景理論と治療アプローチが,特にアジアアフリカ地域に輸入されることによって,当地で新たにアメリカ的精神疾患が作り出される,ということを主として主張している本。綿密に諸方面から調べ上げてて,作り上げられていく様子を丹念に追っている。この著者の主張は,ある精神的変容(症状)に対して,当地には当地の文化に依存した解釈と治療法があり,DSMと相容れない場合があるが,アメリカ的な考えが普及することによって,当地にはそれまでなかった似て非なる症状を示す患者が出てくる,ということ(香港での摂食障害,ザンジバルでの統合失調症,日本でのうつ病)。場合によっては,まったくなかった疾患が新たに創出されることも(スリランカでのPTSD)。示唆としては,当地の文化を尊重したアプローチをすべきだと,繰り返し伝えているような感じ。精神疾患は「作られる」ものだという議論は昔からあるけれど,その一つ。精神医学者や心理学者の信念やら,製薬会社の思惑などが絡んで,ちょっと怖い。読みやすい英語でした。