2018年6月20日水曜日

身体知性:医師が見つけた身体と感情の深いつながり

佐藤友亮 2017 朝日新聞出版

医師であり合気道家である著者が,医学的な観点から身体について書いた本です。前半は医学の現場での話,後半は身体と感情の話や,東洋的なアプローチも絡みながら病気やパフォーマンスの話になり,最後は精神医療の話と,多岐に渡ります。それと貫くキーワードが「身体知性」です。

著者の使う「身体知性」という言葉にはやや広がりがあって,全体を通して読んでみてこれという限定的な意味合いでは使っていないように思います。例えばそれは「直感(直観)」であったり,「生の体験」のようなものであったり,あるいは体感として蓄積された色々な「経験」であったり,言葉に表せない「感覚」的なものであったりと,とにかく私たちの存在のベースである身体から発せられる様々な情報を指しています。

医師ですので,医療現場,特に救急医療の現場の様子も随所にあって,楽しめました。最後の,内田樹先生との対談も,面白いです。

2018年6月4日月曜日

教育における身体知研究序説

樋口聡(編著) 2017 創文企画

「身体知」という言葉で語られる研究の専門書です。専門書なので、学問領域の違う門外漢には難しい。というのも、専門書や論文は、読みやすさよりは厳密さに重きを置いているために、一般読者を想定していないからかと感じました。

しかし少なくとも、教育学、体育学、芸術学など多様な領域の関わる学際的なテーマであることが再確認できました。