2015年2月26日木曜日

太極拳『超』入門

陳沛山 2012 BABジャパン

まず第一に,良書です。競技中心の制定拳(簡化24式太極拳など)や健康体操としての太極拳(楊名時太極拳など)とは違う,本来の太極拳について丁寧に詳しく紐解いています。陳沛山師が考案した「四正太極拳」の動作の図解と並行して,21課(最終課を入れると22)に分けて要諦を分かりやすく紹介しています。陳式でない人も,読む価値はあると思います。

でもやはり,この本は,陳沛山師の「陳氏太極拳協会」の会員の人は必読でしょうね。健康体操や表演(あるいは演武競技)が目的なら,それは太極拳ではないとはっきりと繰り返し書いてあります。なぜなら太極拳は武術だから(単なる体操ではない)。なぜなら太極拳は内側の感覚が重要だから(外見で判断する表演はナンセンスである)。激しく同意。その通りだと思います。

僕は楊式ですが,陳式の動きもとても気持ちが良さそうです。

2015年2月25日水曜日

ブルース・リー哲理解析

ロジャー・ロー 2014 オルタナパブリッシング

『ブルース・リー思想解析』の続編です。ブルース・リーファンにとっては,その思想的な側面を掘り下げた,良い本です。『思想解析』に続き,ブルース・リーがおそらく参考にしたであろう各種の思想や理論などが,この『哲理解析』でも紹介されています。特にこっちの『哲理』の方は,ブルース・リーが当時,こういう風に物事を考え,武術や映画を考えていたはずだという,説得力のある仮説が並んでいます。ファンにとっては面白い。特に本来の武術家としてのブルース・リーを考える上では非常に参考になります。『ロスト・インタビュー』と『G.O.D.死亡的遊戯』を観たくなりました。

2015年2月16日月曜日

ブッダの<呼吸>の瞑想

ティク・ナット・ハン 島田啓介(訳) 2012 野草社

同じティク・ナット・ハン師の『ブッダの幸せの瞑想』(サンガ)というのを以前に読みました。日本語訳の発行年を見ると,こちらの方が前に出版されていました。『幸せの・・・』のテーゼが,呼吸に戻りましょう,でしたが,本書はそれをさらに端的に示しています。本書は,アーナパーナサティ・スッタ(安般守意経/安那般那念経)の,ティク・ナット・ハン師による解説本です。ティク・ナット・ハン師は,これを,「呼吸による完全な気づきの経典」と表記しています。その名の通り,呼吸によって気づきをもたらす,呼吸こそ気づきへと至る道だと述べています。止(サマタ)と観(ヴィパッサナー)のことも勉強になりました。読むだけで落ち着く本です。なぜなら,私たちは呼吸しながら読んでるから。