2016年3月30日水曜日

東山彰良 2015 講談社

遅ればせながらようやく,第153回直木賞受賞作を読みました。面白い。読み応えあり。ただ,選考委員の北方謙三氏の帯の惹句「二十年に一度の傑作!とんでもない商売敵を選んでしまった」はちょっと言い過ぎではないのかね(笑)。いや,面白いよ,面白い。本当に面白い。だけど,二十年に一度は言い過ぎでしょう。でも,上手い惹句だね~。さすが作家。

70年代80年代の台湾を舞台にしているところ,親子三世代が複雑に絡み合うところ,仁義・友情・家族愛,そして恋愛が詰まってるところなど,謎解きと冒険と成長があり,読み応えありです。日台合作で映画にでもなれば,面白いかも。

2016年3月15日火曜日

劇画ヒットラー

水木しげる 1990 ちくま文庫

水木しげるの戦争漫画。ヒトラーが画家になろうとウィーンに下宿しているところから,ナチス党の総統となり,ヨーロッパで戦争を始め,最後は地下壕で自殺するところまでを,淡々と描いています。ユダヤ人虐殺は,ヒトラーやナチス絡みでは必ず出てきますが,この物語では冒頭に出てくるだけで,後は,ヒトラー中心に誰と交わり,どうやってヨーロッパの国々や歴史が動いていったかだけを描いています。この,淡々とした感じは,おそらく水木漫画の特徴か,あるいはもしかしたら昭和の劇画の特徴なのか,はたまた伝記漫画の特徴なのか分かりませんが,いずれにせよ,セリフ付きの人物と風景とが連続する,そういう漫画です。

2016年3月14日月曜日

蛭子の論語

蛭子能収 2015 角川新書

「論語」を読みながら,蛭子氏が感想を述べる,という体裁の本。何か語るテーマがないと蛭子氏も語りにくいので,そこに「論語」を持ってきた,という本です。だから,別に「論語」じゃなくてもよい。「老子」(道徳経)でもいい。でも,道教だと蛭子氏の世界と近いので,あえて儒教を持ってきたのかもしれない。そうすれば,蛭子氏の世界が対比的により鮮明になるから。

2016年3月5日土曜日

今を生き抜くための70年代オカルト

前田亮一 2016 光文社新書

オカルト好きにとって,70年代のテーマのおさらい的な本。特に目新しい掘り出し情報はないけれど,71年生まれである私にとっては,懐かしいテーマがさらえて面白かったです。