清水豊 (2015) ビイング・ネット・プレス
武術家であるならば,本書は,絶対に読んだ方が良い。「太極拳」と書名にあるので,太極拳家以外の人が手に取ることは少ないと思いますが,太極拳家などの中国武術家に限らず,空手や合気や剣や柔などあらゆる武術家にとっても,武術の本質に書かれたものなので,読んで損することは絶対にありません。
こういう優れた書は,是非,どこかの誰か,本質を理解する外国人武術家あるいは外国人翻訳家が(いや,もちろん,外国語に堪能な日本人武術家でも翻訳家でも良いのですが),英語にでも翻訳して世界に発信すべきではないかと,そのくらい思います。
ただ少なくとも,我々日本人にとっては,清水豊氏が日本人であり,武術という営みの本質をこうした分かりやすい文章で読める喜びと恵みは,非常に大きいといえます。
ここで書かれていることは,何も,太極拳や形意拳や八卦拳に限るものではありません。もちろん,著者は太極拳家・八卦拳家ですから,その術の本質として論を進めています。しかし要は,武術家一人一人が,その術をどう修行(稽古)するか,自分自身にとって修行(稽古)するとはどういうことかという問題であり,そうなれば,本質論として同じところに還元できるわけです。
本質は,術や流派を超えた共通の理として,確固として存在します。ですから,本質は,太極拳も空手も同じです。ひいては武術全般について同じだと思います。本書は太極拳や八卦拳についての本ではありますが,そこには武術稽古の本質が,丁寧に書かれています。武術家,必読書です。
2016年10月24日月曜日
2016年10月3日月曜日
下り坂をそろそろと下る
平田オリザ 2016 講談社現代新書
我が国が下り坂(衰退期)にあるというのは本当にその通りだと思います。強く同意します。だから今後は「勝たなくても負けない」ようにどうやって過ごしていくか,よくよくアイディア絞って考えなくちゃいけないよ,というメッセージにも強く同意します。
1.もはや日本は,工業立国ではない。
2.もはや日本は,成長社会ではない。
3.もはやこの国は,アジア唯一の先進国ではない。
その通りだと思う。そうは言いつつ,どこかこれに抵抗する気持ちも正直ある。平田氏はそのこともちゃんと織り込み済みです。抵抗する気持ちは多少なりともあるけれど,これが現実であり,この通りだとやっぱり思います。だから,受け容れましょう。そこから始まるし,そこからしか始まらない。
発展成長拡大路線な社会はいずれ頭打ちになるわけで,いつまでも成長し続けることは無理であり,日本はもうすっかり頭打ちになっていることは随分昔から分かっているわけで(四半世紀前のバブル崩壊がその証左),だとすれば,持続可能な経済レベルでゆっくり落ち着いて身の丈にあった社会を作って行こうとするのが,やっぱり,まともな判断であり,正しい方向性だと思います。そして,本書が提案する方向性が,「文化」と「コミュニケーション」です。本当に,良い提案です。
心ある人は,是非一度,本書を読みましょう。
我が国が下り坂(衰退期)にあるというのは本当にその通りだと思います。強く同意します。だから今後は「勝たなくても負けない」ようにどうやって過ごしていくか,よくよくアイディア絞って考えなくちゃいけないよ,というメッセージにも強く同意します。
1.もはや日本は,工業立国ではない。
2.もはや日本は,成長社会ではない。
3.もはやこの国は,アジア唯一の先進国ではない。
その通りだと思う。そうは言いつつ,どこかこれに抵抗する気持ちも正直ある。平田氏はそのこともちゃんと織り込み済みです。抵抗する気持ちは多少なりともあるけれど,これが現実であり,この通りだとやっぱり思います。だから,受け容れましょう。そこから始まるし,そこからしか始まらない。
発展成長拡大路線な社会はいずれ頭打ちになるわけで,いつまでも成長し続けることは無理であり,日本はもうすっかり頭打ちになっていることは随分昔から分かっているわけで(四半世紀前のバブル崩壊がその証左),だとすれば,持続可能な経済レベルでゆっくり落ち着いて身の丈にあった社会を作って行こうとするのが,やっぱり,まともな判断であり,正しい方向性だと思います。そして,本書が提案する方向性が,「文化」と「コミュニケーション」です。本当に,良い提案です。
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