2016年10月3日月曜日

下り坂をそろそろと下る

平田オリザ 2016 講談社現代新書

我が国が下り坂(衰退期)にあるというのは本当にその通りだと思います。強く同意します。だから今後は「勝たなくても負けない」ようにどうやって過ごしていくか,よくよくアイディア絞って考えなくちゃいけないよ,というメッセージにも強く同意します。

1.もはや日本は,工業立国ではない。
2.もはや日本は,成長社会ではない。
3.もはやこの国は,アジア唯一の先進国ではない。

その通りだと思う。そうは言いつつ,どこかこれに抵抗する気持ちも正直ある。平田氏はそのこともちゃんと織り込み済みです。抵抗する気持ちは多少なりともあるけれど,これが現実であり,この通りだとやっぱり思います。だから,受け容れましょう。そこから始まるし,そこからしか始まらない。

発展成長拡大路線な社会はいずれ頭打ちになるわけで,いつまでも成長し続けることは無理であり,日本はもうすっかり頭打ちになっていることは随分昔から分かっているわけで(四半世紀前のバブル崩壊がその証左),だとすれば,持続可能な経済レベルでゆっくり落ち着いて身の丈にあった社会を作って行こうとするのが,やっぱり,まともな判断であり,正しい方向性だと思います。そして,本書が提案する方向性が,「文化」と「コミュニケーション」です。本当に,良い提案です。

心ある人は,是非一度,本書を読みましょう。

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