2016年9月25日日曜日

鬱屈精神科医,占いにすがる

春日武彦 2015 太田出版

春日武彦氏の著作は,前から好きで,よく読んでましたが,このところご無沙汰していたので久しぶりに目に止まり買って読んだら,うううむ,あれれれ,こんなにネットリした感じの文章を書く人だったっけ,まるで別人とまでは行かないけれど,昔はもうちょっとドライというかシニカルというか,アンニュイだけれどストイックというか,なんかそういう感じの人だと思っていたけど,こんなにウェットで湿度の高い書きっぷりでものを書く人だったっけ,と,そんな感想です。なんか,スマートなキレ味がすっかり抜けて,なんだかとってもネバネバドロドロな感じ。

シニカルで,世間から少し距離を置いた,厭世的というか,諦観してる感じが良かったんだけれど,タイトルに偽りなく,ことごとく「鬱屈」していて,なんだか妙に人間的というか俗っぽいというか,あまりにも普通すぎて,申し訳ないけれど,この程度の思索だったら,なんか素人の私的な自伝(自分史)読んでるみたいで,なんだか読むに値しないなぁと思い,途中で断念しました。

もともとこういう文章だったのかもしれず,そうなれば,原因は読み手である僕自身が変わったのかもしれず,春日氏が変わったのではない可能性も高い。しかし,もう,諦観したシニカルな文章は,書かないのかね。

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