2016年9月14日水曜日

「超」入門!論理トレーニング

横山雅彦 2016 ちくま新書

本書は,論理(ロジック)とは何かを丁寧に解説した入門書ですが,一方で,よくよく考えれば「日本人にとっての”入門書”」であることに思い至るわけで,そのことから,本書は文化論でもあります。

思い返せば,今から25年(四半世紀!)前の学生の頃,当時,福沢一吉先生(認知神経心理学)がアメリカから帰国され,「ディベート」の授業か何かをされていたのを受講し(あるいは,神経心理の講義中にディベートの話をされたのか記憶が定かでないが),本書にある論理(ロジック)について学んだ(知った)のを覚えています。

おそらく,心理学論文を読む上で必要な知識だから,ということだった記憶があります。科学をする上で,本書の示す論理(ロジック)は,必須の知識です。なぜなら,科学は西洋的な思考の産物であり,西洋はロゴスの世界であり,ロゴスの世界に生まれた人たちにとって論理(ロジック)は空気のようなものだからです。その西洋的科学の世界でやっていくためには,論理(ロジック)を理解しておく必要があります。

福沢先生の授業を聞いて,当時,「おお,なるほど」と感心した覚えがあり,だからこそ,今でもそのことをよく覚えているわけですが,本書を読んで改めて,論理(ロジック)の構造をよくよく理解し直しました。これから研究者になろうとする者,特に心理学のような「科学」をやろうとするならば,こういうのは,学生のうちに身につけておく教養だと思います。論理(ロジック)は,科学的営みの大前提であり,基本中の基本です。

本書によって,日本人にとってなんでこういう入門書が必要なのかが,改めてよく分かります。科学を志す高校生・大学生にとって,必読書です。

0 件のコメント:

コメントを投稿