2018年11月12日月曜日

”手のカタチ”で身体が変わる!

類家俊明 2018 BABジャパン

「ムドラ」とは,主には手のカタチなわけですが,本書は,ヨーガをする上でアーサナをするときの手の意味に注目した本と思っていただけると良いかと思います。

ですから,基本的にはヨーガの本です。アーサナ(ポーズ)をするとき,手がどのようになるとどうなるか,ということが著者の経験や知識に基づいて,書かれています。

通常のヨーガの本は,あんまり手のカタチに注目したり,そこについて事細かく解説していることはないので,参考になると思います。

現象学的な心:心の哲学と認知科学入門

ショーン・ギャラガー,ダン・ザハヴィ(著) 石原孝二・宮原克典・池田喬・朴崇哲(訳) 2011 勁草書房

心理学や認知科学が扱うテーマについて,現象学というのがどうアプローチして,どういう意義や貢献があるか,ということを説いた本です(だと思います)。

現象学は,面白いと思います。通俗的には「内観」と同義のように扱われてることがありますが,内観とは違います。なんというか,とても丁寧に経験を扱います。

ただ,この本を読んで思ったのは,私は「内観」のように,ざっくりと精密でない方が性に合っていると感じました。現象学は,やっぱり,哲学だから難しい。いや,難しいかどうかではなく,性に合うか合わないか,と言う方が正しいかも。哲学も面白いと思いますが,ざっくりした話ではなく本気で取り組むとなると,やっぱり性に合いません(だから「分かりやすい」心理学やってるわけですが)。

2018年11月2日金曜日

沖縄空手道の歴史

新垣清 2011 原書房

夢想会・新垣師範の,渾身の力作です。もともとは月刊『空手道』(廃刊)の長期連載だったようですが,沖縄(琉球)の歴史に始まり,空手史にとって重要な沖縄の様々な歴史的(政治的)背景を丁寧に辿り,現代に名が残る様々な武人について丁寧に調査を行い,沖縄の武術がどのように形成・発展してきたかを,詳細に記述しています。

非常に勉強になりました。そして,その丹念な調査に基づく史実を手繰ることで,空手という武術とその歴史に関する認識が新たになりました。そしてそこで語られる新垣師範の主張は,私が常々感じていた私自身の身体感とも一致していて,疑問が解消され,なるほどそういうことかと納得した次第です。

いやしかし,よくここまで色々と調べたものだと,感服いたしました。史実と推測の区別については「ここからは筆者の推測」ときちんと明示して述べておられるし,伝聞・口伝・噂などについては「これは筆者確証なし」と明示しておられるので,その点も非常に誠実だと感じました。