2020年1月26日日曜日

日本語は哲学する言語である

小浜逸郎 2018 徳間書店

昔結構よく読んだ小浜逸郎。なんだ最近は日本語にこだわってるのか,何々それは面白そうだと思い,買って読みました。中盤(2~4章。全体の7割ぐらい)は,著者独自の日本語文法論です。「哲学」というよりは(小浜氏は「言語哲学」と言っているが,これが言語哲学なのか?),日本語の特徴から日本文化あるいは日本人の認識の特徴を紐解いている感じ。だからといって,それを掘り下げることもなく,文法論を展開しています。日本人の認知構造のようなものが徹底的に語られるのかと思って期待していましたが,延々と続く文法論以外は,著者の思うままにあれこれ(あんまり一貫性なく)断片的に語られているだけです。記憶に残るのは,細かい文法論だけでした。

2020年1月19日日曜日

今昔百鬼拾遺 鬼

京極夏彦 2019 講談社タイガ

なるほど,そこから続いていたのか。京極ワールド全開です。昨年の夏,たまたま『ヒトごろし』を読んだ後,土方歳三の最後・函館に旅行し,鬼の副長最後の地を訪ねて感慨に耽ったところだったのですが,さすが京極,そこからそこに来たか。

この後の『河童』『天狗』も手元に購入済みなので,いずれそのうち。いやぁ,やっぱり京極は面白い。すごい。

2020年1月11日土曜日

生まれながらのサイボーグ:心・テクノロジー・知能の未来

アンディ・クラーク(著)呉羽真・久木田水生・西尾香苗(訳) 2015 春秋社

我々人類は,そもそもサイボーグなのだ,というテーゼを丁寧に書いている本。その通りだと思うから読んでいて違和感はないし,日本語訳もそれなりに読める文章ですが,しかし,議論の進度が丁寧すぎて遅い。だいたい先が読めたような気がしたので,つまらなくなり,途中で読むのを止めました。

ソウルダスト:<意識>という魅惑の幻想

ニコラス・ハンフリー(著)柴田裕之(訳) 2012 紀伊國屋書店

内容が難解なのか,原文がそもそも分かりにくいのか,それとも日本語訳が分かりにくいのか,原因は定かではありませんが,とにかく非常に読みにくい本です。何が言いたいのか良く分からない。いや,なんとなく言いたいことが分かりますが,読んでいて非常にストレスフル。なので,途中で読むのを止めました。

2020年1月8日水曜日

ヨガを深く学びたい!難しいヨガ哲学がスルスルわかる

Yoginiアーカイブ 2019 枻出版社

魅力的なタイトルに惹かれて即購入。なんといっても「スルスルわかる」である。構成は,Yoginiという隔月刊誌の特集を再編集したもので,内容的には重複しているところがたくさんありますが,しかし,イラスト豊富でとっつきやすいことは確か。

書いてあることはいろいろですが,基本的に,八支則の最初の,ヤマ・ニヤマについて,いろいろなヨガの先生が解説しています。

2020年1月4日土曜日

認知言語学研究の方法:内省・コーパス・実験

辻幸夫(監)中本敬子・李在鎬(編) 2011 ひつじ書房

認知言語学の代表的な研究方法をまとめた本。目的と内容がピンポイントで良い。認知言語学が何を明らかにしようとしているのか,そのための方法としてどのようなアプローチがなされているかを端的に知る良書です。

「内省」や「コーパス」を利用した方法は,やはり,言語学の人でないと,素人には難しいと思いました。でも,それが分かっただけでも収穫です。逆に,「実験」(ここでは心理実験・調査)は,当然ながら,慣れ親しんだ方法であり,特別に新しさはない。しかしそれは,慣れ親しんだ方法で<言語学>的な研究ができることを意味してもいます。勉強にはなりましたし,研究の指針を定める上で,役に立つと思います。

2020年1月1日水曜日

大阪芸大:破壊者は西からやってくる

向井康介 2019 東京書籍

数々のクリエイティブな映画人,俳優,写真家,アーティスト等々を生み出している大阪芸術大学。著名な人もいっぱい出ています(M-1優勝のミルクボーイの二人も)。そんな大阪芸術大学出身の脚本家・向井康介氏の回想録と著名人インタビュー記事でもって,大阪芸大の謎に迫ります。

いやしかし,一つの青春小説のようになっていて,読んでいて面白かった。誰しも振り返る記憶の中の学校生活ってのはあると思いますが,大学に通った身としては,学生生活ってこういう風だよな~と,なんだかしみじみと自分の当時も思い出しながら,読みました。

私は1990年に大学に入学していますが,なんていうか,当時はまだ大学っていう教育機関が良い意味で「いいかげん」だった気がします。あれから30年経って,大学はホント,教員も職員も学生も,とてもちゃんとしているところになりました。コンプライアンスとか叫ばれる時代ですから,それはそれで安心・安全・信頼・信用等々を保証するから当然と言えば当然ですが,なんだか自由度がなくて窮屈と言えば窮屈でもある。人間,「いいかげん」も必要なときがあります。

早稲田も当時,大阪芸大のように,大学に変な人がたくさんいて面白かったですが(文学部は演劇の人とか文芸の人とか活動家の人とかうろうろしてたから,老けた人とか汚い人とかいっぱいいた),最近戸山キャンパスに寄ったら,随分綺麗な建物とインターナショナルで身ぎれいな学生さんたちでいっぱいでした。余所の私立同様,とっても現代的で綺麗になってました。

と,大学に身を置く者として,当時と今の自分を思い,いろいろと考えさせられる本でした。面白かったです。