2013年6月27日木曜日

心の折れたエンジェル

大槻ケンヂ 2011 ぴあ

良いなぁ,あいかわらず,オーケンのエッセイ。本書にも自分で書いてるけど,ネタがときどきかぶってるな。でも,面白いから,良い。

2013年6月24日月曜日

屍者の帝国

伊藤計画×円城塔 2012 河出書房出版社

伊藤計画氏の未完の作品を,円城塔氏が大半を引き継いで書かれた小説。始まってから3分の1は謎解きと冒険活劇で,その舞台設定も19世紀末ということもあり,さて一体どうなるんだと楽しく読めた。しかし,話のスケールの大きさ故に,これをどうやってまとめて落とすんだろうと,後半に入るにつれて,正直言えば,良く分からんドタバタになり,まぁ,よく読めば理屈はあるようでないような,そんな煙に巻かれた終わり方でした。でも,映画にはしやすいだろうなぁ。ハリウッドでこんな映画があっても違和感はない。しかし,すごいのは,もちろん伊藤氏のプロローグだけど,でも短いプロローグだけから,よくこれだけ話を膨らませたなぁと,円城氏の想像力もまたすごい。

2013年6月14日金曜日

炎上する君

西加奈子 2010 角川書店

短編集。ピースの又吉直樹氏が読書エッセイ集『第2図書係補佐』で勧めてたので,読みました。舞台設定はどれも面白い。けど,全部最後は幻想的に終わるパタン。ほのぼの?まろやか?前向き?ほんわかと終わるのが好きな人は好きかな。僕はなんだか,もう少しはっきりばっさり(ポジでもネガでも)終わる方が好きだね,どうも。ガツーンと来てドンヨリするのでも,スカーッとしてハレバレするのでも。とは言ってもいろいろだけど。この短編集は,どれもファンタジックで茫洋とした感じで終わる。僕は意地悪な性格なもので,読後,著者がさて一体どんな顔してるのか,ネットで拝見。山崎ナオコーラ,怒るぞ(笑)。と思ったら,お二人,お友達なのね。どうぞご勝手に。

2013年6月13日木曜日

皮膚感覚と人間のこころ

傳田光洋 2013 新潮選書

面白くない。「・・・と人間のこころ」と題されているから,「こころ」の話,心理学と言わないまでも思考や感情の話が読めるのかなと思ったら,ほとんど皮膚の話。それも皮膚のかなり細かい科学的メカニズムの話。「こころ」が絡むのはほんのときどき。期待ハズレでした。なので,途中で読むのを止めました。

2013年6月10日月曜日

トーキョー・プリズン

柳広司 2008 角川文庫

『ジョーカー・ゲーム』の柳広司。『ジョーカー・ゲーム』の筋書きや展開の面白さは秀逸だったけど,この『トーキョー・プリズン』も,ノンストップで,まったく飽きさせない展開。面白い。トリックというか,話の精妙さがいい。なお,この『トーキョー』(単行本,2006)の方が『ジョーカー』(2008)より先でした。2011年の『怪談』も良かった。柳広司は,これからちょくちょく,読むようにしよう。

2013年6月5日水曜日

箱男

安部公房 1973 新潮社

言わずと知れた安部公房の代表作の一つ『箱男』。タイトルがそもそも秀逸。箱男だよ,箱男。さて,安部公房を読んだのは実は初めて。なんとも怪奇。話には聞いていたけど,これが安部公房か~。1973年と言えば自分がまだ2歳。昭和48年。トリッキーな小説ってのは形式あるいは装置としていくらでも考案されてるんだろうけど,その実験的な原型は安部公房だったりするのかな。いや,これとて海外の小説に範を得ているのかもしれないけど,いずれにせよ,摩訶不思議な,目眩がしてくる小説。安部公房の他の作品も,いずれ,読んでみよう。