2017年12月26日火曜日

構築された仏教思想:道元 仏であるがゆえに坐す

石井清純 2016 佼正出版社

道元の思想を,中国禅の流れから,その対比でもって明らかにしていく,非常に丁寧で分かりやすい本でした。まずは道元の略歴を追い,彼の辿った道を押さえた上で,その著作を紐解いていくので,なぜそういう考えに至ったのか,なぜそういうことを主張しているのかが分かって,読んでいて合点がいきました。

たまたま最近読んだ,メルロ=ポンティの紹介本と,構成が似ていて,読みやすかったです。非常に勉強になりました。道元を知るには,おすすめの本です。

2017年12月25日月曜日

5つのチベット体操:若さの泉

ピーター・ケルダー(著)渡辺昭子(訳)2004 河出書房新社

1993年初版,2004年改訂新版です。いわゆる「チベット体操」の本です。儀式(体操)の仕方が詳しく載っているだけでなく,そもそもこの本は,ちょっとした不思議な小説の体裁を取っていて,それがまた魅力的です。つい,試したくなります。

巷には,この体操(チベット体操,チベットヨガ)の教室やインストラクター養成講座があります。お金を払ってそうした教室や講座に通うのもの良いですし,1200円のこの本を買ってよく読んで丁寧に自分で実践するのでも良いかと思います。それくらい,5つの儀式の動作はまったく複雑ではありません。

2017年12月12日火曜日

パーマネント神喜劇

万城目学 2017 新潮社

悪くない。でもやっぱり,ホルモーや鹿男やしゅららぼんが面白かったところからすると,期待していたよりはイマイチではありました。トヨトミも,若干好きじゃなかったので,常に自分にとってストライクということはないでしょうから。でも基本的に万城目作品は面白いので,次に期待します。

2017年12月4日月曜日

実践!瞑想の学校

ネルケ無方,プラユキ・ナラテボー,藤田一照,島田啓介,宮下直樹,井上ウィマラ 2017 サンガ

それぞれの著者が,それぞれの(宗教)実践をどう捉えているかが分かる本でした。ワークショップやインタビューなどを文字起こししたものが大半なので,読みやすいです(最後の井上ウィマラ先生のものだけ書き下ろしです)。

タイトルは「瞑想」とありますが,瞑想をどう定義するかが人によって違いますので,そうなると坐禅と瞑想の違いだとか,瞑想実践と宗教実践の違いだとかが曖昧になります。

どれも究極的には同じところを目指している(と思う)ので,違いを生じさせる言葉や定義の問題は些細なことではあるのですが,こうして同じ仏教系の人たちでも,各人がそういう些細なことに意外とこだわっているのだなということも分かる本です(説明上,仕方のないことなのかもしれないですが,どれも結局,単なる「言葉」や「概念」にすぎません)。

私は最近,南伝だろうが北伝だろうが,坐禅だろうが瞑想だろうが,実践的にはほぼほぼ同じことをしようとしているのであって,違いはあれどそれはどれも些末なことであり,そんなことはどうでもよいのであり,そういう違いにこだわるのは無駄な気がしてなりません。

たぶん,そんなことにこだわっている時点で,なんだかこう,禅的ではない。ような気がします。