2016年11月25日金曜日

老荘思想の心理学

叢小榕 2013 新潮新書

面白い構成になっています。いわゆる,道家の寓話(寓言)がまず紹介され,それに関連する心理学の知見が添えられる,という構成になっています。その話,全部で34個。なので,ちょっとした時間の隙間に1~2個の話を読めば,あっという間に読み終わります。

ただ,惜しむらくは,添えられる心理学のネタが,あんまり関係ないものだったり,一定の領域に偏っているものだったりと,その辺りが寓話にフィットしてないアンバランスな(やや強引な)感じがするなぁと,個人的には思いました。でも,こういう試み自体は新鮮で面白いので,読むに耐えずに本を閉じる,なんてこともなく,最後まで楽しく読めました。

2016年11月19日土曜日

「今,ここ」に意識を集中する練習:心を強く,やわらかくする「マインドフルネス」入門

ジャン・チョーズン・ベイズ(著)高橋由希子(訳)2016 日本実業出版社

原題は,”How to Train a Wild Elephant: And Other Adventures in Mindfulness"です。その意味は本書に出てきます。本書は,日常生活におけるマインドフルネス実践を,53個紹介している,というものです。瞑想実践の入門書ではなく,マインドフルでいるための練習を,日常生活の中で取りかかりやすい(中には難しそうなワークもありますが)状況やきっかけを使って,行っていこうという本です。

なので,日常生活の中でマインドフルでいるというのはこういうことか,ということを一つ一つ丁寧に知る,そういう本にも仕上がっています。マインドフルネスの実践はなにも,坐って瞑想しているときだけではありません。朝起きて夜寝るまでが全部マインドフルネス実践なんですが(だからライフスタイルなのですが),それを知る,とても良い本です。良書です。おすすめです。

2016年11月4日金曜日

読むだけ禅修行

ネルケ無方 2014 朝日新聞出版

ネルケ無方師の,禅語や経典の中の言葉にちなんだ34個の話です。師の書く本はいつも読みやすく,今回のこれも,読みやすい。テーマになる「言葉」と,それを一行で述べたタイトルと,もう少し詳しく書いた100字禅語の解説,そして4ページぐらいの本文という構成です。

何より,その「言葉」を表した書と俳句が添えられていて,これもとても良い。書(墨象)は師本人が書いたもので,たぶん,俳句も本人が詠んだものなのではないかなと思います。

これに,随所に,安泰寺での生活風景を映した写真が添えられています。これもまた,リアリティがあって,良いです。

禅的な生き方を味わえる,とても良い本に仕上がっています。