2013年7月31日水曜日

So now you're a zombie: A handbook for the newly undead

John Austin (2010) Chicago Review Press.

訳せば,『今日からあなたもゾンビ:新人ゾンビのための案内書』といったところか。と,アマゾンを検索してみたらすでに翻訳書が出てました。『ゾンビの作法:もしもゾンビになったら』でした。他に似たような本も出てて,そっちは,Zombie survival guide的なもの(ゾンビから身を守るマニュアル。複数あります)。好きだねぇ,アメリカ人は。でもって,本書,随所が凝りに凝っていて,よくもまぁ,ゾンビネタだけでこれだけ細かいところまで(あまりにもくだらないどうでもいいことまで)あれこれ考える,そのオタクぶりに驚嘆しました。一方で,本書は,ゾンビの目から見た人間の様子を描いているので,ちょっとした人間行動学・心理学にもなってます。さて,そのうち,Zombie survival guideでも読んで,ゾンビに備えておくか。

2013年7月17日水曜日

残り全部バケーション

伊坂幸太郎 2012 集英社

あいかわらず,面白い話を考えるなぁ。井坂氏の小説の手法は,どこかのエッセイで書いていたけれど,結末をあえて書かない,あいまいに終わらせる,後は読者の想像にまかせて余韻に浸らせる,ということで,今回のこの手法通り。いや,分かってはいるけれど,はまるね,この手法は。小説は読者の想像力に依存するから,いかにその想像力をフルに発揮させるか,そのために,よく構成されています。また,結末に至るまでの伏線の張り方も,いつもながら,震えます。井坂本を全部読んでるわけじゃないけれど,どれも外さないね,この人は。

2013年7月16日火曜日

唯幻論大全:岸田精神分析40年の集大成

岸田秀 2013 飛鳥新社

かの「ものぐさ精神分析」の岸田秀です。私はてっきり,岸田本の”有名どころ”を再編したのが本書なのかと思って買ったのですが(「ものぐさ・・・」など),とにかくこの人,細かくいろいろと雑誌などに書いていて,そうしていろいろと書いたものを再編したのが本書です。「ものぐさ・・・」を読んで心理学をやろうと思った私にとって,岸田精神分析を久しぶりに読み,やっぱりこの人の書く文章は面白いなと再確認。精神分析そのものに関する評価は置いておくとして,ただ,本書を読んでみて,「ものぐさ・・・」よりも,もうすでに精神分析は関係ないような論理と主張が展開されてます。岸田本人は精神分析にこだわっているようだけれど,必ずしも精神分析理論がなくても成立する論理と主張だということです。しかし,学生に,買って読むと良い,とは言いにくい厚さだなぁ(笑)。