2015年11月27日金曜日

響きあう身体:「気」の自然観・瞑想法・占術

坂出祥伸 2014 関西大学出版部

これまでにも数々の「気」や「道教」に関する著書のある坂出先生の,特に「気」に関するところについて述べた論文,評論,書評等々をまとめたものです。なので,同じような論が何度が出てきますが,それはそれで,ああそれが重要なポイントなのだなと分かるので良いです。

とにかく,「気」に関して客観的に精緻に解いていて,それが「道教」の中で,あるいは,中国的な精神世界の中でどういう風に位置づいているのかが,とてもよく分かる良書です。そもそも,坂出先生の(論文以外の)書き言葉は,(対談を文字起こししたものもあるので,その部分は話し言葉ですが)とても分かりやすい自然で平易な文章であり,僕のような門外漢も読める,良い本でした。勉強になりました。

2015年11月20日金曜日

観ずに死ねるか!傑作青春シネマ邦画編

2014 鉄人社

映画監督,俳優,漫画家,イラストレーターなどの著名人延べ80人が,それぞれの独断と偏見で語る,「青春映画」評。タイトルは「傑作青春シネマ」となっているので,取り上げる映画はどれも「青春映画」なのかと思いきや,各人がこの執筆依頼で取り上げるものには,大きく分けて二種類あると思いました。

一つは,タイトル通りの,青春(=10代?)ど真ん中の少年少女が主人公の映画を取り上げる人と,もう一つは,自分が青春ど真ん中のときに観た映画を取り上げる人。前者は本書のタイトル通りに「青春映画」評になっていますが,後者の場合は,その映画を観たときのことを回想しての自分の「青春」評になっています。まぁしかしそこのところは厳密に区別できるわけではないだろうから難しいところだろうけれど,やっぱり,前者と後者はちょっと違うよなぁと思うわけです。

だから,後者のものをタイトルにすれば,「私の青春時代に観た傑作シネマ」なのかなと思うのです。それはそれで面白いから,買うと思う。

でも,これだけ80人もの著名人が「青春」映画を語ると,人ってのは,それぞれオリジナリティの高いことを言おうとしつつ,結局,なんとなく同じことを言ってるなと感じる節もあります。個人差とは,言い方,表現の仕方,切り口の違い。ただそうなると何かそこに本質というかイデアのようなものがあるような気もしてきますが,そういうものでもない気もします。青春って,何だ?

とまぁ,青春語りをあれこれ100編近く読んで,最後は少し食傷気味。

2015年11月13日金曜日

知識ゼロからのマインドフルネス:心のトレーニング

長谷川洋介・貝谷明日香 2015 幻冬舎

ビギナー向けの,マインドフルネス瞑想実践の入門書です。はじめてマインドフルネスに接する人に,何をどれくらい,どのように伝えるのかについて知りたくて,購入して読みました。イラストを駆使してなんとかマインドフルネス瞑想の感覚を伝えようとしている,その工夫と努力は感じられます。イラストも多いので,正味1時間もあれば読めます。

2015年11月11日水曜日

腕振り健康法 スワイショウ入門

楊進(監) 雨宮隆太・橋逸郎(著) 2015 ベースボース・マガジン社

いわゆる「スワイショウ」だけを取り上げた入門書。やり方と効用が,簡潔に書かれています。DVDも付いてます。スワイショウはもうすでに,太極拳や健康体操の教室,武術・武道の道場からウェブサイト,YouTubeなど動画,書籍,ブログ等々でもうさんざんっぱら取り上げられているので,今更感はあるかもしれませんが,しかし,スワイショウ「だけ」にフォーカスして書かれた本ってのは,おそらくこれが最初なのではないかと思われます。その意味では,新しい,希有な本です。

2015年11月10日火曜日

道教の歴史

横手裕 2015 山川出版社

中国思想史としての道教史の,本格的な専門書です。張り切って専門書を読んで道教史を学ぼうと意気込んで読み始めました。いや,途中まではそれなりに面白く読めました。専門書の割に,文章は平易で分かりやすいのです。著者の研究者としての真摯な態度と人柄が伝わってきます。しかし,いかんせん専門書であるが故に,途中からだんだんと飽きてきてしまいました。やはり,どうしても淡々と一本調子で研究知見が並んでいる感が否めないのと,とにかく,古代中国の書名・人名・土地名などがたくさん出てきて,真ん中ぐらいで情報過多になってしまいました。負荷が高い。でも,基本的にこれは,良い本です。文章以外に,写真資料,地図資料,歴史資料,用語資料等々,道教の総合事典的な意味で,情報の網羅性も高いと思います。

というわけで,私のような素人が道教史を学びたければ,もっとソフトな概説書が良い,ということですね。

2015年11月4日水曜日

4コマ漫画で体感するから身につくほんとに使えるリアルな英語フレーズ

米田貴之 2014 朝日出版社

良い。一番良い点は,まぁ,この本の特徴として長いタイトルにも書いてある通り,4コマ漫画中心に,コンパクトにまとまっている点。選んでいるフレーズも厳選していて,良い。たいがいこの手の本は,出てくるフレーズを全部丸覚えするのは不可能なわけで(学習書じゃないし),ああ,あのときああ言ってたのかとか,こういうときこういうのねとか,そういう,経験に知識を足し算するぐらいのつもりで読むものであって,そういう意味では,気軽に読めて,良い本です。なんていうか,著者の(学校で勉強した語学というよりは)生の経験に基づいている感じは,確かに,出ています。

2015年11月2日月曜日

人生で大切なことはオカルトとプロレスが教えてくれた

大槻ケンヂ・山口敏太郎 2015 KADOKAWA

著者らは1966年(昭和41年)生まれ。二人とも自分より5歳上ですが,この本で出てくる話題は大半が分かるし,知らなかったネタも面白い。大槻氏・山口氏同様,この手の話が僕は好きなのだ。昔から筋少のファンで,大槻氏の本は(小説はそんなんでもないけれど)評論・エッセイは結構片っ端から読んでます。だからもう,読んで面白いことは読む前から分かってるんだけど,山口敏太郎という人が,かなり怪しい面白い人だと言うことを知ったのは収穫でした。

それで,この本の一つの主張というか結論をあえて書けば,フェイクをフェイクとしてどれだけリアルに楽しめるか,というスタンスが大切だということでしょうか。武術的にはやっぱり,「間合い」が大切,ということになりましょうか。

いやしかし,山口敏太郎(著)の本をamazonで検索したけど,怪しい本たくさん書いてるなぁ(笑)。でも,すっかり忘れているだけで,この中で1冊2冊は,すでに読んでる可能性あるな。