2017年11月29日水曜日

メルロ=ポンティ

村上隆夫 1992 清水書院

本書は1992年刊の新装版であり,2014年刊です。前半はメルロ=ポンティの生涯,後半はその研究について,丁寧に分かりやすく解説しています。ですので,メルロ=ポンティの入門書として良書なのではないかと思います。

というのも実は,メルロ=ポンティの思想は断片的には知っていましたが,原著はもちろん入門書もちゃんと読んだことはなく,まずはこの本が一番読みやすそうだったので手に取ったわけです。期待通りでした。

これを機に,もう少しハードなメルロ=ポンティの研究書だとか,さらには原著にもいずれ挑戦してみようと思いました。

2017年11月17日金曜日

禅・チベット・東洋医学

藤田一照・永沢哲 2017 サンガ

禅僧の藤田一照氏とチベット仏教研究者の永沢哲氏の対談本です。禅仏教とチベット仏教の邂逅。お二人の知識と造詣の深さに驚嘆します。重要なのは,二人とも実践者ということ。副題が「瞑想と身体技法の伝統を問い直す」となっている通り,身体的実践を伴わなければ意味がない,というところがポイントになっています。

ただ,タイトルに「東洋医学」とあるけれど,そこまで東洋医学のことはそんなに語っていません。むしろ,「禅とチベット」で良いような気がしました。

しかし,いずれにせよ,チベット仏教の様子が少し分かり,そこから禅を見ることで禅も少し分かり,ひいては,仏教という営みが見えてきます。対談なので読みやすいですし,二人の語りが的確なので,展開が明瞭でブレにくいのも,良いです。

2017年11月3日金曜日

新世紀ゾンビ論

藤田直哉 2017 筑摩書房

ゾンビを視点にした社会批評・文化批評の本です。読みやすく,3日ほどで一気に読みました。「ゾンビ」という解釈の視座が,読みながら目まぐるしく変わるので,読んでいてジェットコースターみたいででしたが,その視座それぞれはそれなりに面白かったです。「ゾンビ」も,映画ばかりでなく,むしろゲームだとか最近のアニメだとかが中心で,後半は特にそっちに突入していく感じです。これほどまでにゾンビが増殖しているとは,よもや,知りませんでした。