2014年1月28日火曜日

岩波講座 日本の思想 第五巻 身と心:人間像の転変

苅部直・黒住真・佐藤弘夫・末木文美士(編) 2013 岩波書店

身体と心に関する思想的展開として,主には思想史・文化史・宗教学が専門の方達によって書かれた本。中世近世が中心。専門書なので,やはり難しい。特に中世の文献に関する記述(引用)部分は,正直言って,字が読めません(笑)。字が読めないから,意味が分からない。結果,面倒臭くなって,半分ぐらいまで読んで断念しました。各章,タイトルは面白そうなんだけど。

2014年1月25日土曜日

マインドフルネス瞑想ガイド

J.カバットジン(著) 春木豊・菅村玄二(編訳) 2013 北大路書房

「マインドフルネスストレス低減法」(春木豊訳・北大路書房)が,MBSRの全体を詳しく解説している本であるのに対して,本書は実際にマインドフルネス瞑想を実践するために,技法のインストラクトをCDに納め,実施の際の心構え(取り組む姿勢)としてのマインドフルネスの概要を解説しています。ごくごく端的にマインドフルネスとその技法を知るという点で,極めて良書です。CDも4枚付いています。ただやはり,カバットジンのマインドフルネスをじっくりと理解するためには,上記の「マインドフルネスストレス低減法」も併読した方が良いことに違いはありません。

2014年1月24日金曜日

タブーすぎるトンデモ本の世界

と学会 2013 サイゾー

「と学会年鑑」「トンデモ本の世界」シリーズとは別の,「タブー」をテーマにまとめた単行本。宗教,思想,政治などが主なネタ。いつも通りの一定のクオリティを保っています。今回も楽しく読めました。

2014年1月15日水曜日

認知考古学とは何か

松本直子・中園聡・時津裕子 2003 青木書店

「認知考古学」。なんと魅力的な領域名だろうか。海外ではcognitive archaeologyだそうでこういう名前になっていますが,心理考古学でも良いでしょう。その目指すところもとてもロマンティックであり,心理学者として興味深い。ただ,いかんせん,「考古学」であることには変わりなく,その考古学的な色合いがちょっと読んでいて疲れます。なので途中で断念。もうちょっと考古学的な説明は省いて心理的な面にごりごりと大胆にアプローチしてくれれば,さらに面白さが増すのになぁと,個人的には思いました。しかしそれでは,考古心理学,あるいは人類心理学になってしまうか。すでに進化考古学とか,心理人類学というのならありますね。たぶん本書はこの領域の教科書的な位置づけだろうから,私のような専門外の人間でも分かりやすい読み物のようなものがあれば,そっちを読んでみることにします。なお,この本はもう今から10年前に出版されたものなので,今はもっと発展してるんだろうと思います。期待してます。

2014年1月12日日曜日

身体論のすすめ

菊地暁(編) 2005 丸善

京大の共通科目「人文研的身体論のすすめ」というオムニバス講義を教科書にしたもの。どの章も飽きずに読める。が,面白くて印象に残るのは,編者でもある菊地氏の章。序章「寄せて上げる冒険」は,ブラジャーに関する論考。第4章「僕は,昔,皿洗いだった」は,京大生協食堂での皿洗いバイトに関する論考。どちらも語り口は軽妙,そして何より,アカデミックにブラジャーと皿洗いを語る様子は,この人の書く文章をもっと読みたいと思えるほど。さて,アマゾンで検索してみたけど,民俗学の学術書が二冊だけで,他には特にない。ネット検索してみると,未だ(2013年度)京大の助教のようでもある。この人,新書とか単行本をもっと書いたら,結構人気出て売れると思うんだけどねぇ。編集者の方々,是非この人をリクルートして世に出してください。

2014年1月7日火曜日

「死ぬのが怖い」とはどういうことか

前野隆司 2013 講談社

死にたくないと,普通,人は思う。これは死が怖いからではない。死んでしまうこと自体は別に怖くないけれど,でも,心の底からはっきりと死にたくないなぁと思うのはなぜだろう。その辺りが本書を読んで少しはっきりしました。私も前野氏と同様の意味で「死ぬこと」自体は全く怖くありません。その理由は本書に激しく同意です。が,死にたくない。本書は,死ぬこと自体は別に怖いことでもなんでもないということを懇切丁寧に説明している本として,とても良い。がしかし,ではなんでそれでも死にたくないと思うのかのところにはあんまりスポットを当てていない。私なりの現時点での答えとしては,自分の子どもと会えなくなるから,が一番の理由でしょうか。きっと,独身だったら,今この歳になって「死にたくない」と思わなかったかもしれない。独り身であれば,きっと生へのこだわりは究極的にはそれほどなく,そもそも死ぬこと自体も怖くないので,あとはせいぜい,死ぬときに痛かったら嫌だな,ぐらいしか「死にたくない」理由はなくなってしまう。いや,死んだらそもそも美味しいもの食えなくなるな,空手の稽古ができなくなるな,というのもあるから,そういうのが十分に生へのこだわりですね。今生かされていることに感謝して,精一杯満喫して生きましょう。