2020年6月29日月曜日

日本語表現で学ぶ入門からの認知言語学

籾山洋介 2009 研究社

日本語を材料に認知言語学(認知意味論)の著書多数の籾山先生の本。日本語の話なので,いつも読みやすいし,分かりやすい。この本は特に,「類義表現」についてなので,タイトル的には「入門からの認知言語学」はちょっと広すぎるかな。これまで籾山先生の著書は結構読んだので,使われているネタの重複はしかたありませんが,しかし,籾山先生が根っからの野球ファンであることがこの本からもよく分かります。どの著書も,文例として野球ネタの引用が多い。

2020年6月25日木曜日

食えなんだら食うな

関大徹 2019 ごま書房新社

昭和53年(山手書房)に刊行されたものの復刻版です。名著です。絶対に読んでおいて損はない名著です。関大徹師の生き様,まっすぐで正直な生き様は,禅僧として命がけで生きることに対する本気のプライドを感じました。徹底的に,精一杯,生ききることの尊さと言うのでしょうか。中でも刺さったのは以下の言葉です。

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「徳」は積ましてもらわねばならぬ。そして,たといお礼の言葉といった些末なことでも,代償を求める心があるとするならば,その「徳」は帳消しになる,と心得られたい。
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無償で何かをするのは,正直,難しい。人間,何か見返りが欲しい。報われたいと思う。それが自然だと思います。でも,いつもいつも報われるような場面ばかりでないし,小さな事から大きな事まで報われないことはいっぱいあります。そういう,報われないときこそ「徳」を積んでいると思えば良い。だから,別に報われなくても良いんじゃないか。そういう,応援歌に聞こえました。

2020年6月19日金曜日

認知意味論研究

山梨正明 2012 研究社

認知意味論に関する専門書です。かなり専門的に突っ込んだ話ばかりです。若干,同じ話が出てくる(重複している)ところがありますが,それはおそらく,それぞれの章はそれぞれ別の論文ですでに述べていることを,一つの本にしたからではないかと思います。それはそれで良いのですが,だから専門書です。でも面白く読めました。勉強になりました。

2020年6月14日日曜日

ヨーガの哲学

立川武蔵 2013 講談社学術文庫

原本は1988年刊。とても勉強になりました。ヨーガを軸にインド哲学の伝統と仏教におけるタントリズム・禅・マンダラなども含めて分かりやすく紐解いている良書です。東洋哲学の歴史的な流れだけでなく,ヨーガで行われている実践,アーサナ,チャクラ,プラーナなどの解説も豊富であり,ヨーガを取り巻く思想・哲学の全体像を把握できました。ヨーガをする上でオススメというか,必読書,でしょう。

2020年6月6日土曜日

言語学の教室:哲学者と学ぶ認知言語学

西村義樹・野矢茂樹 2013 中公新書

対談形式なので,非常に分かりやすく読めました。野矢先生が尋ね,西村先生が説明し,野矢先生が突っ込み,西村先生が答える,という基本パタンです。この,「突っ込む」というところが,いわゆる教科書や専門書的な理論やモデルの説得的な説明とは違う良いところであり,素人的にはそこは分からないとか,ピンとこない,といった感じに野矢先生が遠慮せずに疑義を挟む,というのが,理解を深める形になっています。

というのも,言語の問題だから,こういう言い方もあるとかいった例外が結構多いし,ぱっと見た(聞いた)感じでは何が違うのか分からないものも結構あるからです。そこのところ,つまり,分かりにくいところや必ずしもそうとは言えないところを,教科書や専門書だったら簡単に済ましたり割愛したりするわけですが,本書はそこんところは丁寧に突っ込んでいます。

認知言語学的なアプローチを知る上では,分かりやすくて入りやすい新書です。オススメです。