2016年10月24日月曜日

中国武術秘訣:太極拳・君子の武道

清水豊 (2015) ビイング・ネット・プレス

武術家であるならば,本書は,絶対に読んだ方が良い。「太極拳」と書名にあるので,太極拳家以外の人が手に取ることは少ないと思いますが,太極拳家などの中国武術家に限らず,空手や合気や剣や柔などあらゆる武術家にとっても,武術の本質に書かれたものなので,読んで損することは絶対にありません。

こういう優れた書は,是非,どこかの誰か,本質を理解する外国人武術家あるいは外国人翻訳家が(いや,もちろん,外国語に堪能な日本人武術家でも翻訳家でも良いのですが),英語にでも翻訳して世界に発信すべきではないかと,そのくらい思います。

ただ少なくとも,我々日本人にとっては,清水豊氏が日本人であり,武術という営みの本質をこうした分かりやすい文章で読める喜びと恵みは,非常に大きいといえます。

ここで書かれていることは,何も,太極拳や形意拳や八卦拳に限るものではありません。もちろん,著者は太極拳家・八卦拳家ですから,その術の本質として論を進めています。しかし要は,武術家一人一人が,その術をどう修行(稽古)するか,自分自身にとって修行(稽古)するとはどういうことかという問題であり,そうなれば,本質論として同じところに還元できるわけです。

本質は,術や流派を超えた共通の理として,確固として存在します。ですから,本質は,太極拳も空手も同じです。ひいては武術全般について同じだと思います。本書は太極拳や八卦拳についての本ではありますが,そこには武術稽古の本質が,丁寧に書かれています。武術家,必読書です。

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