2013年10月9日水曜日

ユリイカ 7月臨時増刊号 総特集=岡村靖幸

足立桃子(編) (2013) 青土社

 岡村ちゃん論です。岡村ちゃんに対する愛があふれんばかりに満載。今現在,学生の前でファンだと公言しても,今の若い人って彼のこと全然知らないし,そもそも自分が学生の頃の20年前だって,「岡村靖幸ってすげえんだよ」って周りに熱弁しても,(岡村ちゃんが,ではなく,いや岡村ちゃんとともに)そう言っている僕自身がヘンな人的な扱いを受けて,まぁ,とにかく,今も昔も,メジャーでないことは確か。
 1990年の春に大学進学とともに上京して,同時に上京した高校時代の無二の親友に,「岡村靖幸を聴け。とにかく聴け。すごいから」と諭され(というか,半ば強制的に下宿先でCD『早熟』を聴かされ),『聖書』の歌詞と岡村ちゃんの声と歌い方に衝撃を受けたのが始まりでした。
 岡村ワールドを知らない御仁に『聖書』の歌詞内容をかいつまんで説明すると,クラスの女の子が35歳の既婚中年と不倫してるわけだけど(たぶん,主人公はその女の子のことが好き),そんなのは本当の恋じゃない,僕の方がずっといい,なんつっても,同級生だし,バスケット部だし,青春してるし,背が179センチもあるんだぞっ!!と心の中で叫ぶ,っつう歌詞です。バスケ部で179センチだぞ,おれは!!なのになんであんなオッサンが良いんだよ~~~(涙)。歌い方も凄い。♪どきゅせーだし,ばすけっっっぶーーだぁし,じっさいせいしゅし,てるし,せっがっ,ひゃくななじゅーきゅ♪です。うううむ,表現しきれません。一度聴くべし。
 もちろん,『聖書』の他にも名曲は数多い。『家庭教師』『カルアミルク』『だいすき』『Peach Time』『(E)na』・・・他,まぁ,要するに,全部良し。岡村ちゃんの魅力はもちろん曲の凄さもありますが,作詞作曲編曲などなど,全部自分でやっている。そして,さらにすごいのは,そのダンス・パフォーマンス。その辺の,最近中学校「ダンス」必修化に伴う小中学生総ダンサー化してやたら見かけるようになった,取って付けたようなヒップホップやロッキングやブレーキングじゃないですよ。ベースはMJやプリンスにあるようですが,しかし,もう,岡村ちゃんオリジナルなダンスなのです。こんなの,人が真似できるわけがない。要するに,トータル・パフォーマーとしてのオリジナリティとスペシャリティに,圧倒されるわけです。
 他の追随を許さないばかりに,孤高の存在ではなく,異端の存在になってしまった,と,本書のどこかに誰かが書いていました。まさにその通り。最近,『ぶーしゃかLOOP』が,ちょっと話題になりました。喜ばしい限りです。今秋出る,『ビバナミダ』,良いなぁ,これまた。岡村ちゃん,健やかに,マイペースで,少しずつで良いから,焦らず,いつまでも,歌い続けてください。
 

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