2020年8月19日水曜日

認知意味論のしくみ

 籾山洋介 2001 研究社

認知意味論の特に,多義や意味の拡張に関するものでした。初版が2001年なので,話題が少し古いように思いました。学問の世界も,10年20年あれば,当時の理論やタームに代わって新しい理論やタームも出てくるので,そうなると,当時の理論やタームはあまり(あるいは全く)使われなくなることはあるわけです。また,あるタームに関する考え方や捉え方も洗練されてくるでしょうから,時代によって変わるのも当然です。

特にこの認知言語学は比較的新しい学問領域のせいなのか,あるいは,この学問(言語学?)がもともとそういう性質を帯びているのか分かりませんが,短い期間で新しい理論やタームがどんどん作られているように感じます。いやもしかしたら,心理学も端から見れば,似たような理論やタームが乱立しているでしょうから,同じようなものか。

2020年8月18日火曜日

絶対必見!SF映画200

 STUDIO28 2019 洋泉社

スペースオペラ,異星人,ホラー,タイムトラベル,ディストピア,ポストアポカリプス,ロボット,・・・などテーマで分けてそれぞれ5つぐらいの映画をレビューしています。どのレビューも面白いですが,ただ,選んだ基準がよく分からず,なんでこの映画?あの映画はないの?という感じ。

まぁ,たった200に絞り込むのは難しいというのもあるし,一般的に有名な映画を集めたところで本としての特徴は出せないから,どうしてもマニアックなものを選ぶ傾向は出てきてしまうでしょう。その点で,ライターの知識や趣味が出るのは仕方がないか。

この中で一人,書く文章が特徴的で(癖が強くて),生理的にどうにも受け付けないライターがいました。日本語が崩壊している感じで読みにくいし,映画通でないと分からない排他的な感じが鼻につきます。その人のレビューや総論は全部,飛ばしました。

2020年8月13日木曜日

心という難問:空間・身体・意味

野矢茂樹 2016 講談社

非常に読み応えがありました。「眺望論」と「相貌論」のいずれも説得力があります。素朴実在論をどうやって哲学的に説得するかに,約300ページ丸々かけています。どうやったら説得的か,熟慮に熟慮を重ねて,どういう順番で何をどう書くか,丁寧に練られている感じです。

だからとても分かりやすいし,説得的です。そして,これはこれで筋として間違っていないと思うし,生きている実感に一番近いところで着地している論になっていると思います。端的に面白かった。

他我問題については,これを機に,大森荘蔵を読もうと思う。

2020年7月23日木曜日

メタファーと身体性

鍋島弘治朗 2016 ひつじ書房

ここ1年ほど認知言語学,特に認知意味論やメタファーの本を読んできました。ただ,それ以前から身体心理学の授業をする際に,レイコフの概念メタファーについては知っていたし,簡単に授業でも話してきました。もう随分経ちます。さて,ここへ来て認知言語学・認知意味論を丁寧に読み始めて,自分が興味関心のある身体の話にすごくフィットするなぁと改めて思って,言語学的なアプローチが非常に面白いと感じていたわけですが,まさに興味関心のど真ん中の集大成のような本が,これでした。

最初からこの本を読んでいれば,とも思いましたが,しかし,この本に辿り着くためには丁寧に認知言語学や認知意味論の本を読んでいって理解を深めていく必要があったわけで,ここまでの経路(まさにメタファー)は必要なものだったと思います。そうでないと,この本に辿り着かないし(本書は一般書ではなく専門書です),読むための認知言語学的な基礎知識が必要だと思うからです。

しかし,鍋島先生の前著『日本語のメタファー』は,正直,読みにくかった。専門書だからでもあるけれど,今回の『メタファーと身体性』の方が,構成も分かりやすいし,そもそも,文章が読みやすいし例も面白い。だいたい同じ話(身体性メタファー理論)なのですが,この『メタファーと身体性』の方が断然読みやすいです。なので,鍋島理論を読むなら,この方がオススメです。

言語学,哲学,心理学,神経科学などを一人横断的学際的に論じているこの本は,本当にすごい。名著です。僕にとってはバイブルになりそう。素晴らしい本です。

2020年7月2日木曜日

【決定版】ゾンビ究極読本

ノーマン・イングランド(監) 2019 洋泉社

ゾンビマニアによる超マニアックなロメロ・ゾンビ本。ロメロのゾンビ6作品について,その鑑賞時のインパクト,制作の裏側,映画に出てくる関連グッズまで,マニア的な視線で映画を読み解く。全体的には面白いけれど,後半は段々飽きてくる。いや,ゾンビマニアからしたら全編面白いのかもしれないけれど,ここまでマニアックだと,もはやノーマン・イングランドの超個人的な日記を読んでいるような気分。ま,それがマニア本か。