2012年8月13日月曜日

怒りの作法:抗議と対話をめぐる哲学

小川仁志 2012 大和書房

なにか無理矢理に,これまでの思想家・哲学者の考えを「怒り」にこじつけてる感じが,読んでいて妙にひっかかる。なので,途中で読むのを止めました。著者はもちろん,哲学研究者であり心理学者ではないのでしょうがないけれども,怒りという感情をテーマにするとどうしても個人の内的な心理面を述べざるを得ず,そうなるとどうしてもその面の考察が浅い。また,東洋的な(仏教的な)思想や身体論に関する理解・洞察も浅い(あえて短絡的攻撃的に対比しているのは,意図的かもしれないけれど)。てっきり,怒りという感情について哲学的に深めていく本かと思ったんだけれど,そうではなくて,これまでの思想家・哲学者の考えを「怒り」に絡めて列挙している哲学案内書でした。なので,一つのテーマを題材にした思想・哲学の入門書とすれば,成立していると思います。読みやすいので高校生用。ただ,著者の一方的な断定口調(書き方)が,気になると言えば気になります。なぜそこでその事実を断定できるのだ,エビデンスは?という箇所が散見。この人の本はもう買わないかなぁ,たぶん。

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