2015年8月28日金曜日

教団X

中村文則 (2014) 集英社

分厚いですが,その分,読み応えあります。中村文則氏は,芥川賞の又吉直樹氏がかねてより絶賛していて,その又吉氏のエッセイか何かで見て,以前,『銃』を読んだことがあります。『銃』は良かった。なんていうか,主人公の内面を丁寧に描写する感じが,良かったです。

今回もまた,登場人物たちの内面を丁寧に描いています。それから,あえてそうしているんだろうけれど,とにかくやたらセックス描写が多い(笑)。今回は,そういうテーマだからね。そうなんだけど,予想以上に紙面を割いています。

新興宗教がテーマの小説に,篠田節子『仮装儀礼』というのがあって,これはものすごく面白かった。どちらも人間臭さを扱ってるわけですが,『仮装儀礼』が新興宗教への信仰や洗脳・カルト化みたいなところに焦点を当てているのに対して,どちらかというとこの『教団X』は(宗教を扱ってはいるけれどもそれを使って)宇宙とは何かとか生きるとは何かとか意識とは何かとか感情とは何かとか,そういった人間という存在そのものにテーマがあります。

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