リック・ハンソン,リチャード・メンディウス(著) 管靖彦(訳) 2011 草思社
それなりに情報的価値も高いけれど,若干,訳語が気になりました。例えば,おそらくimplicit memoryを,潜在記憶ではなく,「暗黙の記憶」と訳したり(explicit memoryは顕在記憶ではなく「明白な記憶」),など。原著の言い回しがもともと読みにくい文章なのか,翻訳の日本語が分かりにくいのか,どちらとも判別しにくいですが,いずれにせよ,訳語や文章が,若干,読みにくい。
また,「ブッダの脳」と銘打っているからには,仏教瞑想やマインドフルネスやコンパッションなどに絞っての議論だと想像していたのですが,原著者の専門からなのか,広く「瞑想」という範囲でいろいろ論じられている部分もあるような気もします(この話は,必ずしも仏教やマインドフルネスとは違うんじゃないかなぁ,というところがときどき,ある)。となれば,「ブッダの脳」というよりは,「瞑想の脳」とか「瞑想する脳」とかの方が内容にフィットするような気もします。まぁしかし,原題もBuddha's Brainだから,タイトルは正しいのだけれど。
引用文献リストもきちんと載っていて,その点はとても丁寧な本だと思います。また,脳に関する様々な研究知見も,勉強になります。ただ,途中で読むのを止めました。
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