2016年12月6日火曜日

禅の教室:坐禅でつかむ仏教の神髄

藤田一照・伊藤比呂美 2016 中公新書

良い。とても良い。まず伊藤氏の問いが良い。そしてそれに真摯に一生懸命応える藤田師がまた良い。もちろん,テープに取った音声を起こして,読みやすく編集し直しているんだろうけれど,二人の問答が,こぎみよくて,良い。

何より,本書のテーマは,「禅とは何か」だと思う。で,ここでの一つの答えとしては,禅とは仏教すること,仏教の実践が禅だということ。仏教にはいろいろ教義やら経典やら言葉がたくさんあるけれど,要は身体で坐れ,っちゅうことだと。

僕などは,やっぱり,仏教の専門でないし,仏教の世界は広くて深いから,生兵法で仏教用語をかじったり仏典の概要を知ったりしたところで,中途半端になるだけだと,常々思っています。

だから,坐る。

坐ることは,掛け値なしに,誰が坐っても坐るというただ一点については,同じ。シッダールタも藤田師も僕も同じ。

僕のような一般人は,仏門に入るわけではないけれど(出家するわけではないけれど),仏教することはできる。仏教するとはこういうことだということを,教えてくれる一冊です。

なお,本書の中で,坐禅と瞑想は違うとか,禅とマインドフルネスは違うとか,ときどき出てきますが,そんなのはたぶんどうでもよいことであって(いや,禅僧のみなさんや南方仏教の方からするとそうは行かないのかもしれないのですが),結局のところ藤田師もどうでも良いと思っているのではないかと勝手に推察して,つまり,要はごちゃごちゃ言ってないで,難しい仏教の教義や経典なんかも放っておいて,まぁ,とにかくただ坐るのが,良いんじゃないかと,僕は思います。

ごちゃごちゃ面倒くさいことは全部置いて,打坐。シンプル。

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