2017年8月29日火曜日

ゾンビ学

岡本健 2017 人文書院

「ゾンビ」というコンテンツを様々な角度から考察した本です。いわゆる,映画紹介的な評論の本ではありません。ですから,作品によってはときどきネタバレのものもありますから,ゾンビものをまだあまり見ていない人はご注意(というか,こんなタイトルの本を読むのはゾンビものはよく見ている人だろうから,心配無用か・・・)。

著者は,「コンテンツツーリズム学」というのが専門であり,もう少し広い学問領域でいうと「観光社会学」ということらしい。本書には,うれしいことに,私の論文も引用してくれています。ありがとうございます。だから社会学の人ってのは,分野に偏らず,広くいろいろな文献を読むんだなぁと感心しました。

とにかく広く多様な角度から考察しているので,その点で,まとまりのようなものは少し欠ける気もしましたが,ゾンビ(映画やアニメやマンガなど)を研究するための「軸」を可能な限りたくさん提供しているという点は,非常に意義深いです。だから「ゾンビ学」というタイトルなんですね。

ゾンビ関連の研究本は,海外ではたくさんあって,その翻訳本が日本でいくつか読めますが,社会学的な視点でのものはなかったように思います。その意味では,日本では新しいのかなと思います。また,本書にはゾンビ以外のホラー・オカルトの対象に関する研究本も合間合間に紹介されていて,とにかく,世の中にはいろいろと読み切れないほど面白い本があることも,知ることができました。

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