2018年7月3日火曜日

感情とは何か:プラトンからアアーレントまで

清水真木 2014 ちくま新書

「感情とは何か」というタイトルだから,古代から現代までの哲学者によるその答えの系譜を解説した新書かと思いきや,そうではありません。科学的な感情理解(「感情」というブラックボックスに対し,入力と出力から規定していく知的パズル,と本書では評されている)ではなく,感情とは何かの問い方を説いたもので,決して何らかの答えが書かれているわけではありません。

本書を読み終わることようやく,この本のそういう主旨に気がつきました(笑)。いわゆる心理学的な感情理解のようなものを否定するんだけれど,じゃあ感情って何なの?という問いに対する答えは見えてこず,なんとなくずっと肩透かしにあったような感じが続くのですが,要するにここでは答えは求めておらず,でも科学的な感情理解では感情を理解したことにはならんよね,で,哲学者はどう問うてきたか,どう問うのが本質的に適切かを説いている,そういう本です。

なので,正直言えば,全体的には分かったような分からないような,そんなところです。ただ少なくとも,改めて,哲学って答えじゃなくて問いなんだ,ということが分かりました。そして個人的には,こういう感情の哲学のようなアプローチの方が丁寧で面白いことも,改めて感じました。

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