2013年4月17日水曜日

ゾンビ日記

押井守 2012 角川春樹事務所

『攻殻機動隊』『イノセント』など,かの押井守氏の小説。小説としては三流。しかし,「死と戦争」「兵器と死」「死と身体」というテーマに関する論考だとして読めばそれなりに。ゾンビの設定は,押井氏が自分の考えを述べるための装置であり,小説の格好をしているだけとも読める。ゾンビものの設定としては奇抜で,この世界では,ゾンビはただ単に徘徊するだけ。襲ってこないし,人肉も食べない。感染もしない。腐らない。原因は不明。唯一,ゾンビを倒す方法は頭部を破壊するという点だけは,踏襲している。でもそのせっかくの斬新な設定が深まっていかない。だから小説としては三流。ゾンビものの新機軸,と思って期待して買うと肩すかしに会う。押井氏のウンチクを堪能したい人は是非。

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