2017年1月20日金曜日

マインドフルネス入門講義

大谷彰 2014 金剛出版

瞑想実践と臨床経験と仏教に関する造詣の深さを礎に,実証研究(エビデンス)への確かな読み込みもあいまって,非常に勉強になるきっちりとした本です。注や引用文献も豊富で,これをお一人で書いたかと思うと脱帽です。

だからこれは一般書ではなく,専門書,それもかなり高度な専門書です。これからマインドフルネスを臨床実践に使いたいと思う人,研究対象にしたいと思う人などは,読んでおくべきでしょう。

エビデンスにこだわっている良書ですので,その意味でも逆に言えば,出版年である2014年時点での成果です。もうそれから数年経っていますが,特にはニューロサイエンス方面の知見は日進月歩ですので,この方面を研究したい人は,本書は参考程度に読まれると良いと思います。

著者が臨床家ですから,基本的には,臨床応用のためのマインドフルネスに関する話です。その点,仏教的マインドフルネス(本書ではピュア・マインドフルネスと命名)と臨床的マインドフルネスの区別を明確にしている点は,とても勉強になりました。分かってはいるつもりでしたが,ついこれらを区別せずに一緒くたにしてしまいがちで,この辺あいまいでしたが,本書を読んで合点がいきました。そして改めて,自分はどちらかというと,ライフスタイルとしての仏教的マインドフルネスを志向しているんだなと再確認しました。

なので,繰り返しますが,マインドフルネスの臨床応用や研究に興味関心のある人は,本書はとても参考になります。

0 件のコメント:

コメントを投稿