2017年1月28日土曜日

悪意の心理学:悪口,嘘,ヘイト・スピーチ

岡本真一郎 2016 中公新書

岡本先生は「ことば」が専門の,著名な社会心理学者です。本書はその岡本先生が,社会心理学と言語心理学の知見をベースに,いろんな状況や場面を例に「悪意」について説明したり考察したりしたものです。

「悪意」ですので,本書を通して見ようとしているのは,話し手(メッセージの送り手)の「意図」です。話し手の意図というものがどう伝わり,聞き手(メッセージの受け手)にどう思われるか,どういう影響を与えるかを,丁寧に分析した本です。心理学の基本的な(教科書的な)知見も散見されますが,そうした基本的知見を「悪意」という横軸でもって横断的に切り取っていくとこういう風に関係するしこういう風に見えてきます,という本になっています。だからとても参考になりました。

岡本先生の文章は,平易で分かりやすい。例文の中には関西の訛りがときどき混じったりしていて,親しみが沸く。愛知学院大学は私の実家のそばというのもあって,これも勝手に親近感を覚える要因になっているかも。愛知学院大学の学生は,岡本先生の講義が聴けてうらやましい。

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