2017年3月12日日曜日

身体と心をととのえる禅の作法

藤井隆英 2016 秀和システム

禅のアプローチの,特に調身と調息のところに重点を置いて,どうあればよいかをとても分かりやすく易しく説いている良書です。ポイントを絞って,回りくどい修辞をせず,また,専門的な仏教の解説を極力避けながら,禅の方法論のエッセンスを抜き出しいてるので,仏教の素人である(私を含めた)一般向けには,非常に良いと思いました。(著者は,曹洞宗の禅僧であり,かつ,整体師でもあります)

坐禅は身体的アプローチです。なにせ「調身・調息」というぐらいですから,はっきりそう明示されているわけです。しかし,一見動かずじっと坐って(本当は「じっと」はしていなくて,呼吸でわずかに揺れているし,姿勢も微妙に変化していますが),あたかも心に浮かぶ雑念と格闘して無心になろうとしているかのように思われているので,なにやらゴリゴリの精神的(認知的)アプローチだと勘違いされています。でもそれは大きな誤解。「調心」は,「調身」と「調息」の結果です。本書を読めばそのことが簡潔に書かれています。

0 件のコメント:

コメントを投稿