2017年3月9日木曜日

夜を乗り越える

又吉直樹 2016 小学館よしもと新書

又吉さんの文学(小説)論・芸人論です。過剰に情熱的な芸人・文学者である一方,それ(自分自身)を冷徹に見つめる批評家でもあり,その意味で,極端と極端の間で結果的に非常にバランスが取れている形になっています。

漫才(やコント)や小説によって人をどう楽しませるかという徹底した作り手・書き手の視点と,そもそも本来お笑いや小説が好きで堪らない読み手の視点が,つまり,陰と陽が絶妙に混ざった,良い文学論・芸人論になっています。

なお,ここで「本」と言っているのは,たぶん,ほぼすべて「小説」のことを指しています。とにかく本(小説)は良いよ,というメッセージ。僕は,本を読むなら小説に限らなくて良いと思いますが,いずれにせよ,教科書以外,本をほとんど読まない最近の学生には,まずこれを読ませたい。

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