2019年7月19日金曜日

身体感覚を取り戻すハンナ・ソマティクス

平澤昌子 2013 BABジャパン

フェルデンクライス・メソッドをベースに,トーマス・ハンナが創始した,ハンナ・ソマティックスの入門書。アプローチの背景的な理論は,センサリーモーターアムネジア(感覚運動健忘症)。無意識のうちに筋肉が収縮し,身体各部の嫌みや不調をもたらしている(ひいては心理的にも不調をきたす)という考えです。これに基づき,その,無意識的に(不随意に)収縮している筋肉を,意識的に(随意に)収縮させ,意識的に緩めることで,本当のリラックスを得よう,というエクササイズです。

普通のリラクセーションやマッサージやストレッチングの考え方だと,違和感や痛みのある部分を伸ばしたり,揉んだり,緩めたりとするわけですが,このハンナ・ソマティックスのやり方は,「パンディキュレーション」というものです。これがなかなか発想として逆転している感じがオリジナルです。具体的には,無意識に収縮して硬くなっている部分(筋肉)を,まずは意識的に一度収縮させて,その後,意識的にゆっくりじわじわと戻していく,というやり方。ただ緩めるのではなくて,ゆっくりじわじわ戻すところが特徴的(このためには筋肉のコントロールが必要)。つまり,無意識から意識に,筋肉を取り戻す,ということ。

私は左肩の凝りが慢性的に続いているので,早速,試してみました。すると,「おお!」という具合に,今まで揉んでほぐしてだと効かなかったのが,このパンディキュレーションでやると,スッと凝りが解消しました。うん,効くね,これ。個人的には,今後も使っていきたいと思います。

ただ,こういう身体的なアプローチは,いろいろあるのですが,いろいろあるのはなぜかというと,効く人と効かない人がいるからです。人の身体は千差万別ですから,あるメソッドは効くけどあるメソッドは効かない,というのはよくあります。万人に効くメソッドはない,ということです。だから胡散臭いと思われる節もありますが(笑),まぁ,そういうものです。

広い意味では,西洋医学的な薬なんかも同じで,効果のある人とない人といるわけですが,こうした身体的なメソッドやセラピーや東洋的な身体技法などは,さらに幅が広いと思います。ですから,やってみて効けば儲けもの,というぐらいが適当かと思います。誰にでも効く,というわけではありません。その人に合えば,合う方法が見つかればラッキー,ということです。

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