2019年12月13日金曜日

生きられた<私>をもとめて:身体・意識・他者

田中彰吾 2017 北大路書房

ラバーハンド・イリュージョン,離人症,身体パラフレニア,鏡像認知,BMI,他者問題,心の理論,といった話をもとに,心の哲学や心身問題・他者問題について紡いだ本です。テーマは本当に心躍ります。東海大学の田中先生,このテーマ,この領域では第一人者です。学会発表や論文はこれまで拝見したこともありましたが,著書を読んだのは初めて。文章もとても分かりやすく,つっかえずに読み切りました。身体系の領域でも,また,心の科学(心の哲学)の領域でも活躍されているので,次回作に期待が膨らみます。

私も身体や心の哲学には興味関心が強いので,こういうテーマが大好きなのですが,さて,自分で現象学をやろうと思うと難しいし,方法論的にはなんとなくフィットしない。理論心理学会にも以前に一度入ったけど,読むのは良いがやるのは難しい(ので,辞めました)。自分はやっぱり思考が(典型的な)心理学なのだと,改めて思い直します。好き嫌いと得意不得意(できるできない)は,簡単なところでは同じですが(好きこそ物の上手なれ),突き詰めると別ですね。ということで,現象学的心理学・身体性哲学は,読む専門でやる専門ではないから,(同い年の)田中先生に期待!

0 件のコメント:

コメントを投稿