2019年12月15日日曜日

ヤンキーと地元:解体屋,風俗経営者,ヤミ業者になった沖縄の若者たち

打越正行 2019 筑摩書房

これぞ研究。すごい。沖縄の暴走族の若者に混じって参与観察を10年に渡って続けてきた社会学者。驚嘆する。尊敬する。沖縄のヤンキー文化(労働や収入という側面から見れば,極めて過酷な底辺の文化)を垣間見ることができて,その内容の濃さとリアリティと,そしてやっぱり,島特有の閉塞感(単純に,海に囲まれていて,そこから出ることにワンクッションある社会特有の空気)が満ちた本になっています。沖縄は,狭い。でもって,陸続きじゃないから,簡単に離れられない(余所に行けない)。

沖縄は観光面の華やかさばかりが取り上げられるけど,お金を使いに来る観光客は「客」なのであって,リゾート地特有で,本土から移住する人も多い。それもお金を落とすから良いのだけれど,また一方で,当たり前だけど,そこに住む地元の人たちがいるわけです。そのメインの人々の世界って,「客」の視点では見えてこない。だから、こういう本は、ものすごく貴重だと思う。

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