2019年7月14日日曜日

映画分析入門

マイケル・ライアン,メリッサ・レノス(著)田端暁生(訳) 2014 フィルム・アート社

映画学の教科書。映画というアート,メディアを読み解くにあたって,その撮影の技術やスタイルから意味を読み解いて行く前半部分と,歴史やイデオロギー,政治や科学など,様々な視点からの批評の方法について紹介している。前半は,色々な映画を題材に表現技法を解説してるところは面白い。後半は,批評の視点を一つないし二つの映画を挙げて照会しているけれど,批評の仕方を解説するというよりは,批評の例を読んでいる感じなので,面白いところと面白くないところあり。ただ,前半だけでも,買って読む価値はあります。

2019年7月6日土曜日

路上観察学入門

赤瀬川原平・藤森照信・南伸坊(編) 1993 ちくま文庫

本書は,1986年刊行の本が文庫化されたものです。今和次郎・吉田謙吉に端を発する考現学の流れを汲む路上観察学。『超芸術トマソン』や,マンホール,女子校制服,解体建築物のカケラなど,どうでもいいもの,何の役にも立たないもの,つまり資本主義経済からはみ出してるか,そのマージナルにあるものを,観察し,記録する。ただそれだけ。いやはや,面白い。

これは博物学に近いという本書諸氏の考えのもの,早速,博物図の本を数冊注文しました。楽しみです。

2019年7月1日月曜日

「知としての身体」を考える:上智式教育イノベーション・モデル

鈴木守他 2014 学研

どの章も非常に魅力的でした。講義を本にした形なので,まるで講義を聴いているようで,とても読みやすい。内容も,身体に関して多岐に渡るので飽きない。この講義科目は,きっと面白いだろうなぁ。今でもやってるのかな。

「身体」と「身体知」がテーマの授業で,いろんな分野の先生が語る。体育・スポーツの先生だけじゃないから面白い。宗教学や社会学,言語学の先生が身体を語る。

上智は革新的だと思う。「ウェルネスと身体」という実践と講義から構成された授業科目があるそうです。体育って,ただ競技やフィットネスをやって汗流して体動かす,とかだけじゃなくて,こういう,身体を知る,って授業はやっぱり体育の一つの本義だと思います。それが体育の,人間学としての重要な核だと思います。

2019年6月18日火曜日

はじめての認知科学

内村直之・植田一博・今井むつみ・川合伸幸・嶋田総太郎・橋田浩一 2016 新潮社

認知科学の成り立ちとアプローチの仕方を知ることができる,分かりやすい入門書です。何を研究対象としているか,どういう立ち位置から考えているか,どういう問題が展開されうるかが,ざっくりと解説されています。一つ一つの研究の詳しい話は,他書や元論文に譲ることにしていて,ここでは,ニュアンスを感じ取ってもらうための本という感じに作られています。タイトル通り。

2019年6月14日金曜日

超芸術トマソン

赤瀬川原平 1987 ちくま文庫

「考現学」そして「路上観察学」なんて言葉を辿っていく内に行き着いたのが,「超芸術トマソン」。赤瀬川原平(2014年没)の名前はもちろん知っていて,記憶に近いところでは1998年の「老人力」(流行語大賞にもなった)ですね。

その赤瀬川氏による「路上観察学」。これは分かります。顔が中身を表しているから,そんなには驚かない。しかし,その後ろでチラチラとくっついている「超芸術トマソン」とは一体何なのか?「超芸術」?で「トマソン」?

読んで分かりました。そういうことね。いやしかし,これだけ時を経ると,なんで「トマソン」なのか,「ロビンソン」でも「ワトソン」でも「ダビットソン」でもなくて,「トマソン」なのか,なんでカタカナなのか,どういう意味なのか,皆目見当がつかなくて,そもそもこの突き抜けたネーミングのセンスは何なのか,それだけでただ衝撃を受けました。

そういえばそうだったと思い出したのは,赤瀬川氏は,愛知県立旭丘高校美術科(通称「旭美(きょくび)」)のご出身。そう,高校の先輩だったのでした(私は普通科ですが)。