2014年2月15日土曜日

意拳・気功

張紹成 2012 BABジャパン

站椿功や開合の解説は,役に立ちました。勉強になりました。気功のメカニズムや効果に関してはいろいろな考えがあるので何とも言い難いですが,本書は現代科学的な理解の枠組みを若干超えたところに,その現象の原理を見いだしています。気功といえばこういう説明をしがちな面はしばしばありますから,本書が奇書,というわけではなく,その意味ではよくある気功の本ではあります。その辺りが少々ついていけないですが,本書で紹介されているエクササイズは,身体運動として,バランスを養ったり,ストレッチしたり,また,自分の身体の微細な感覚に注意を向けたりという面では,ところどころに神秘的な説明を持ってこなくても,十分に意味があると思いました。気功は,背景に気や陰陽といった道教の考えがありますので,もちろんそれと結びつけることで意味が深まるわけですが,そういう説明をあえてしなくても,心身の修養法として十分に効果がある,ということです。むしろ,そういう神秘的非科学的な説明が,「気功」を怪しくて胡散臭いものに見せているところがあるような気がします。ただ,気功にもいろいろあるので,本当に怪しいものからちゃんとしたものまで,ピンキリではあります。なので,体育学・スポーツ科学・心理学に基づいた,もっと淡泊で科学的な気功の本があれば読みたいです。

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