2014年2月8日土曜日

三戦の「なぜ?」

クリス・ワイルダー(著)倉部誠(訳) 2012 BABジャパン

タイトルの前には正確には「日本の空手家も知らなかった」と刺激的な惹句が付いている。確かに競技中心のスポーツ空手の道場であれば,ここで書いていることは(競技にとって)まったく無用であり,おそらく,そういう道場ではこういうことは一切教えないだろう。競技中心の元選手であった先生は,こんなことは習ってないので知らないだろうから,当然,自分の生徒に教えられるはずもない。確認したわけではないが,体感として,日本の空手道場の9割がスポーツ空手の道場だと想像すると,確かに「日本の空手家」はここに書いていることは知らないという言葉はあながち間違いではない。しかし,少なくとも私の道場ではここで書いていることの大半は普通にやっているし実践もしている。一部,そうしない方がむしろ身体操作的には良いだろうと思える箇所もあるけれども,概ね賛同できる。なので,読んでみて新たな発見や得したところはわずかだけれども,そのわずかな発見があっただけでも得したといえる。なお,本書は,実践する上で関係のない内容の話が書かれていたり,関係があるのかないのかよく分からない(笑)名言が各章ごとに書かれていたりして,読んでいて混乱する点はイマイチ。本書全体の格調を高めよう,サポーティブな理屈で埋めようという意思が感じられるけれども,そういう脚色はしなくても,十分に良い内容ではあるから,その点,残念。

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